経過期間は単価固定を JAグループ重点要請2013年11月18日
JAグループは11月の理事会で米政策をめぐる政府・与党の見直し論議に対して「総合的な水田農業政策の確立に関する重点要請」を決めた。農業者が安心して営農を継続できるよう現行政策よりも拡充強化され、将来展望が見通せる総合的な水田農業政策となるよう要請している。
◆現行制度の拡充強化を
米政策の見直しをめぐっては、一部で「減反廃止」などと報道されて生産現場では大きな不安と混乱が起きている。現実にはすでに減反政策ではなく転作政策が行われてきており生産者は地域で適切な作物選択を行っている。
こうした状況のなかでJAグループの基本的な考え方は、▽今後は飼料用米等の生産拡大を水田を最大限活用していくことで水田を維持・拡大していくことが重要、▽米の生産調整は他産業でも供給過剰になれば生産抑制することは当たり前。作るだけ作って過剰を発生させるのではなく、国・行政・関係者が一体となって消費者、実需者からの需要に応じて生産していくことが重要、というもの。
そのうえで現行制度を日本型直接支払い創設や飼料用米対策の拡充などに見直していくにあたっては、米価下落でとくに担い手経営に影響が出る恐れがあるとして、政策変更にあたっては農業所得が増大し、現行制度より拡充・強化されるよう組織を挙げて取り組む方針だ。
◆コスト割れの補てんも
具体的には、米の直接支払い交付金については「生産調整の強力なインセンティブ」として機能していることから「円滑に需要に応じた生産が行われるまでを経過期間とする」ことを求め、その間の単価水準については「固定すること」を要望していく。
自民党が11月6日に了承した中間とりまとめでは、10a1万5000円の米の直接支払い交付金を26年産から単価を減額し5年後の30年産からは廃止する方向を打ち出している。これに対しJAグループは「円滑に需要に応じた生産が行われるまでを経過期間」とすべきとの考えで、また、段階的な削減も現場が混乱するとして単価の固定を求めるとともに、その単価も現場が混乱しない適切な水準とすることを要望していく。 実際、10a1万5000円の直接支払い交付金によって過剰作付けが減少してきている(19年産=7.1万ha、22年産=4.1万ha、25年産=2.7万ha)。ここで米の需給調整の「入り口対策」である直接支払い交付金を大きく減額してしまえば需給が緩むことが懸念される。
一方で米価下落が経営に与える影響を減らすため新たな収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)も検討されるが、この対策と畑作物の直接支払い交付金の対象者については「現場実態をふまえた要件設定」とすることを求め、▽需要に応じた主食用生産と▽水田フル活用の取り組みを行う地域の担い手が幅広く対象となる仕組みにすべきとしている。
さらに、米の生産調整のあり方が不透明ななかでは、米価の大幅な下落が下落が懸念されるため、担い手については最低コストを補償するようなコスト割れ補てんの仕組みの導入も必要だとしている。 あわせて飼料用米への支援は主食用米の手取り以上が確保できる支援水準とすることも求めていく。
◆需給調整は国の責任
食糧法では国はわが国の主食である米の需給と価格の安定を図ることとされている。そのためJAグループは生産調整を含む米政策のあり方として「国は引き続き米の需給と価格の安定に向けた対応に責任をもって取り組むこと」を求めていく。 また、需要に応じた米生産の実現は、「主体的な判断で需要に応じた生産に取り組むことができる地域の担い手の確保・育成が前提」だとして、こうした取り組みを十分に検討してうえで判断することも強調するとともに、需給安定対策は国・行政・関係者が一体となって取り組む必要性も引き続き求めていく。
(関連記事)
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