JA総合事業の強み活かす 営農経済革新プラン2014年4月7日
JA全中は4月3日の理事会で組織協議を続けてきた「JAグループ営農・経済革新プラン」を正式に決めた。国産農畜産物の生産拡大と農業所得の増大、農を基軸とした地域の活性化を目標に、JAの総合事業の強みを活かした担い手支援や新たな販売方式の実現に今年度から5年間を集中改革期間として取り組む。
◆担い手理事を登用
プランは第26回大会決議の実践を加速化させるため。そのためJA全中の萬歳章会長は「総合事業の強みを活かす」ことを強調している。
記者会見では「今まで以上に信用、共済分野の力を活用しながら、今後5年で総合事業、組織運営の強化を含むこのプランに着実に取り組む。
今年度は大会決議実践2年めだが、言い換えれば残された実践の期間はあと2年。これまでの取り組みを加速化させ、さらに来年秋に開催される第27回JA全国大会へと引き継いでいくということ。平成28年から30年までの3年間でより具体的にしっかりとした事業展開をしていきたい」と述べた。
主な実践事項では、▽経済界と提携したバリューチェーンの構築▽JAの独自性を活かす高付加価値型販売の強化▽2020年に輸出額10倍増を目標としたJAグループ主導の輸出拡大▽2000ある直売所の拡充とネットワーク化による販売網の確立▽担い手経営体への専任担当者の拡大など個別事業対応の強化▽担い手育成のための全国基金創設やJA出資型法人の全国展開による営農サポート、などだ。
また、組織運営を強化するために、▽担い手理事の登用拡大▽担い手理事を中心とした営農・経済委員会の設置▽取引企業等の准組合員化・准組合員の理事登用拡大、などにも取り組む。
◆地域のインフラ機能
萬歳会長はこの革新プランについて「実現していくうえで総合事業の機能発揮が不可欠」と強調し以下の5つの視点からの展開が必要だとした。
[1]総合事業によってJAの目的である組合員への最大の奉仕を実現。
[2]総合事業の実施で可能となる総合的な担い手支援。(販売、購買、金融、共済等のデータを総合的に把握して個々の農業経営状況をふまえた経営指導、販売戦略に応じた技術指導、資材の提供、金融提案を含む総合的な生産提案などが可能になる)
[3]総合事業によって農業者の協同組合であるJAの根幹である営農指導事業を展開。
[4]総合事業によって農業者の生活と地域を支えていく。JAの各支店を拠点とする協同活動のほか、金融店舗、ファーマーズマーケット、介護・医療など広範なサービス展開で地域のライフラインの一翼を担い、農村地域の活性化を図る活動を展開していく。
[5]協同組合であるJAの組織・事業のあり方は組合員の意思によって決められるもの。組合員から求められている総合事業としてさらなる機能発揮に向けて事業の展開。
このなかで会長は組合員、地域住民からは「JAが総合事業を実施していることについて一体的なサービス提供という点で評価をいただいていると述べ、地域が必要とする事業について組合員、地域住民が決めていくことが、参加・参画を基本とする協同組合だの考えを強調した。
また、このプランの着実な実践は「農業者のためだけでなく消費者にも大きなメリットを生み出すものと確信している」とし、「プランの取り組みを進めることで、生鮮品はもちろんこれまで原料が輸入され国産品に代替されていた加工品を含めて安心、安全で高品質な農産物を安定的に食卓に届けることが可能になる」と強調した。
営農・経済革新プランのポイント
【経済界と提携したバリューチェーン】
○投資拡大に向けた全農の資本対応強化
○投資制限緩和、意思決定の迅速化
○JA・6次化ファンドにフル活用
【JAの独自性を活かす高付加価値型販売】
○地理的表示など地域ブランド化
○直売所の拡充とネットワーク化
【JAグループ主導の輸出拡大】
○2020年に「輸出額10倍超」を目標
【担い手経営体への個別事業対応】
○担い手専任担当の増大・拡充
○県・全国でJAの担い手サポートを総合支援するワンフロア化
【JA出資型法人等による営農サポート】
○担い手育成、JA出資型法人、新規就農を支援する「全国基金」創設
○JA出資型法人の全国展開
【事業革新をはかるガバナンスの確立】
○担い手理事の登用拡大
○担い手理事を中心とした営農・経済委員会
○常勤の営農・経済担当理事の設置
○取引企業等の准組合員化、准組合員の理事登用拡大
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