組織の壁を超え資材費低減に取り組む 農業者3団体と全農の生産資材事業研究会2017年6月12日
日本農業法人協会(法人協会)、全国農協青年組織協議会(全青協)、全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)とJA全農は、昨年11月に「生産資材費低減に向けた資材事業研究会」(資材事業研究会)を立ち上げ、検討を進めてきた。6月8日に東京のJAビルで、これまでの経過と今後の取り組み方向について記者会見を行った。
記者会見には、笠原節夫法人協会副会長、飯野芳彦全青協会長、会津宏樹4Hクラブ会長と山崎周二全農常務が出席し、これまでの経過と今後の方向について話した。
なお、この研究会メンバーは、農業者3団体の代表12名と全農の購買・担い手担当(TAC)関係者12名で構成。テーマは肥料・農薬・農機・段ボールの4品目に絞り、農業者ニーズを把握し、生産資材価格形成、商品規格、物流、技術、情報などのあり方について、多面的に検討し意見交換を行った。これまでに3回開催された。
記者会見ではまず「共同購入による資材費低減」について報告された。
研究会では、銘柄集約や輸入化成による肥料コスト低減、ジェネリック農薬や担い手直送による農薬コスト低減、低価格モデル農機やシェアリングによる農機コスト低減、段ボールの規格集約やコンテナへの切替による出荷資材コスト低減が有効であることを確認。
とりわけ農機については、研究会メンバーを中心とする農業者37名の協力を得て、大型トラクター(50~70馬力)による耕耘・代かきなどの春作業を実施し、必要な機能に関する評価データを8月に取りまとめ、農業者の意見を反映した仕様を決定し、9月に国内メーカーに開発要求を行うことにした。
「専門的な技術情報提供等による農業者への対応強化」については、昨年12月の第2回研究会で、全農営農・技術センターの視察を実施した。農業者からは「全農の高度で専門的な技術力・情報量を活かし、最新情報を現場の農業者に伝えていくための仕組みづくりや、農業者を対象にした営農・技術関係の講習会・研修会による人材育成支援」という要望が挙げられた。
今後は、JA担当者を対象とする「全農講習会メニュー」の中から、営農・技術関係(土壌診断や防除技術など)等の講習会をモニター受講し、協議・検討していくことにしている。
研究会を通じて、農業者からは、全農の施策や情報が現場まで伝わっていないので、現場に近い県・地域単位で農業者団体とJAグループが意見交換する場を設けることが要望された。
今後は、各ブロック・県・地域単位で意見交換する場をつくるなど、資材費低減に向けた取り組みの共有をはかり、「着実に現場実践を進める」ことが確認された。
さらに、資材費低減を図るうえで、農業者の努力では解決できない構造的な問題の解決に向け、「国・業界への規制緩和・精度の見直し提言」について連携して取り組んでいくことも確認された。
この研究会は、29年度中も3~4回の開催を予定し、適宜、全国および各地域での資材費低減の取り組み状況・課題について報告・意見交換を行い、相互の連携を図りながら、着実に資材費低減に向けて取り組んでいくことにしている。
大型農機の取り組みについて、山崎全農常務は、農機も含めて資材費低減は「5年とか10年で終わる話ではない。ずうっと続く取り組みだ。農機についてまず要望の強い大型農機から取り組み、その経験を活かし、中型や小型に取り組む。また、地域でシェアして使うことも検討していく」と話した。
また笠原法人協会副会長は「組織の壁を超えて、日本農業を良くしようと集まったのはいままでにないこと」だと、この研究会の存在意義を強調した。
※山崎周二全農常務の「崎」の字は正式には異体字です。
(写真)左から山崎JA全農常務、会津4Hクラブ会長、飯野全青協会長、笠原法人協会副会長
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