組合員にどう対応するか 期限付き「農協改革」を踏まえてーJA全中・(一社)JC総研がフォーラム2017年8月24日
JA全中と(一社)JC総研は8月24日、東京都内でJA組織基盤強化フォーラムを開いた。政府から突きつけられた平成31年5月までの農協改革集中推進期間を踏まえ、多様化した正・准組合員への対応について、JAの取り組み事例等をもとに意見交換し、その方策を探った。全国のJAから約200人が出席した。
フォーラムでは比嘉政浩・JA全中専務がフォーラムの意義を説明。このなかで政府の打ち出した規制改革実施計画につき、期限を意識した取り組みが必要と指摘。特に31年4月1日を基点として実施する約1000万人の組合員調査までに、組合員から評価される実効あるJA改革を行ない、組合員の評価を得ることが重要で、「調査による組合員の声を力に政府に迫る。それ以外にわれわれの戦い方はない」と、調査までの期間の取り組みの決意を示した。
次いで増田佳昭・滋賀県立大学教授が、農協改革への対応に向けた組織基盤強化の意義を解題。同教授は、政府の農協改革とJAグループのJA改革の違いを認識する必要性を指摘。特に組合員の中には政府の農協改革に期待する声もあり、またJA改革もJA間で差があることも課題とした。さらに「特に心配なのは、職員の意識はどうかということだ。役員、管理職、一般職員に認識の違いがある」と指摘。その上で、改革のためのキーパーソンとして、組合員の代表である非常勤理事の役割の重要性を挙げた。
さらに組合員調査については、事業の自己点検と組合員とのつながりを再構築することの意義を挙げる。とくに組合員とのつながりでは、(1)協同組合は事業体であり、組合員に利用してもらわなければなりたたない、(2)そのためには組合員の理解と共感(「JAがあってよかったね」)が不可欠、(3)JAの仕事は「つながり」があってこそうまく。「つながり」を意識した仕事の仕方が必要だと述べた。
JA全中の馬場利彦参事がJAグループの組織基盤の強化(組合員のメンバーシップの強化)について報告。これら解題提起と取り組み報告を元にパネルディスカッションした。増田佳昭教授をコーディネーターにJA岩手ふるさとの高橋隆常務理事、JA大阪南の土井廣和代表理事専務、広島大学の小林元助教、(一社)JC総研の西井賢悟主任研究員がパネリストとして参加した。
パネルディスカッションでは、アクティブメンバーシップについて、組合員とのフェイス・トゥ・フェイスの関係づくり、JAとの縁が薄い正組合員の販売無しの農家への対応、准組合員への働きかけなどが論議になった。
なお、フォーラムは東西で開催。このあと8月29日、大阪で開く。
(関連記事)
・「農協改革」への対抗軸1県1JA構想を考える(17.07.26)
・経済事業 見直し取り組み進む-農協改革調査(17.07.18)
・農協改革 31年5月末まで着実実施を(17.05.24)
・政府の農協改革で農家は幸福になれるのか?(17.05.16)
・トランプ大統領の登場と農協改革のゆくえ(17.03.21)
重要な記事
最新の記事
-
米価「下がる」見通し判断 さらに増える 米穀機構調査2025年12月4日 -
【特殊報】ピーマンにクリバネアザミウマ 県内で初めて確認 茨城県2025年12月4日 -
【特殊報】ナガエツルノゲイトウ 県内で初めて確認 群馬県2025年12月4日 -
【特殊報】カキ等の果樹にチュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 岐阜県2025年12月4日 -
【特殊報】トルコギキョウ斑点病 県内で初めて確認 秋田県2025年12月4日 -
【特殊報】クモヘリカメムシ 県内で初めて発生を確認 秋田県2025年12月4日 -
【注意報】マンゴーにハダニ類 宮古島で多発のおそれ 沖縄県2025年12月4日 -
「適正な価格形成」 重要性高まった一年 山野全中会長が5大ニュース選定2025年12月4日 -
「このままでは暴落」 神明社長、米生産者大会で 消費減退に懸念2025年12月4日 -
【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】ドイツ人と白ご飯2025年12月4日 -
お正月の伝統花材「松・千両」の消費と生産が減っている【花づくりの現場から 宇田明】第74回2025年12月4日 -
囲炉裏・ストーブて焼いたギンナン【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第367回2025年12月4日 -
大人気小説「薬屋のひとりごと」とコラボ「日向夏」を販売中 JAタウン2025年12月4日 -
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」鳥取県で開催 JA全農2025年12月4日 -
【2030年度北海道新酪肉近】「需給均衡拡大路線」を選択、カギ握る消費拡大2025年12月4日 -
県下JAの「特退共制度」加入100%を実現 JA和歌山中央会に感謝状 JA全国共済会2025年12月4日 -
新組合長に38歳の長野桃太氏が就任「村おこしの先を実践」馬路村農協2025年12月4日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(上) 効率化、省力化を賢く2025年12月4日 -
農業経営計画策定支援システムの開発 スマート農業経営指標を公開 農研機構2025年12月4日 -
施設管理・警備子会社の株式をALSOKに譲渡 クボタ2025年12月4日


































