信頼される人間関係を構築 ―コミュニケーション力を向上させるDiSC研修2017年9月26日
農協はじめさまざまな事業を展開する組織が、その目標や目的を達成できるかどうかを決める要素はいくつもあるが、最終的にはそこで働く人たちの「人間力」によるといえる。その人間力のなかでも大事なことは、組織内はもちろん、農協でいえば組合員や地域の人たち、さらに農産物の販売先や生産資材の調達先の人たちとのコミュニケーション力、つまり円滑なコミュニケーションによる信頼される人間関係の構築だといえる。
農協協会では、農協の役職員の方々のコミュニケーション能力を高めることを支援する「DiSC」研修事業を行ってきているが、今回はJAふくしま未来(福島県)での研修を取材した。
◆中堅職員の「人間力」向上
JAふくしま未来は、昨年、福島県北地域の4JAが合併して誕生した広域JAで、太平洋側から自然豊かな山間部まで、12市町村に広がる多様なエリアとなっている。管内は福島、伊達、安達、そうまの4地区本部に分かれ、65支店が各地区本部の下に設置され、正准組合員数は東日本最大規模の9万5000余名、職員数は約1900名だ。
(写真)DiSC研修が行われたJAふくしま未来の会場のようす
今回のDiSC研修は、合併後初の研修会ではあるが、旧JA伊達みらいや旧JA新ふくしまでは実施した経験(旧バージョンの「DiSC Classic」)があり「評価が高く、良い結果が出ている」(須田淳一同JA総務部長)ことから、この春に「考査役」に昇級した中堅職員を対象に実施された。
彼らは「いままでの監督職(係の)から管理職となり、いままでよりも大きな形で管理・監督をする立場になったことを自覚する必要があり、組織としてもそういう認識で対応」していくことになる。管理領域が広まることは「多くの人の考えや特性を把握して指導監督する」ことになるし、「業務を円滑に進めるためにはコミュニケーションが大切になる」ので、「この研修の成果を身につけ、よりよい部下指導を行い、組織内のコミュニケーションを良くして、素晴らしい成果をあげることを期待している」と須田部長は研修会冒頭で述べた。
(画像)「DiSC」はバージョンアップして「Eveything DiSCワークプレイス」となり、
より視覚的・直感的に理解しやすくなった。
◆チームワーク強化にも役立つ
研修会参加の12名は、この春にバージョンアップした「Eveything DiSC」で、事前に質問項目にWeb上で答え、世界中で年間100万件以上実施されデータベース化されたデータなどを使って客観的に分析された個人個人の結果がアセスメントとして返され、自分がどのタイプかが知らされる。研修会場に入ると他の参加者のタイプも分かるので、旧バージョンよりも同じ研修時間ならより深く研修することができる。今回の参加者は35歳から50歳の12名(男性8名、女性4名)で、事前のアセスメントに「95%」とか「ほぼ」合っているとの感想をもって臨んだ。
しかし、研修開始直後は、いままでの研修の経験から「管理職になったので、部内でのコミュニケーションをよくする」ものと思っていた人や、「渉外を10年以上経験しているので、コミュニケーションスキルはある」と思っていた人が多かったようだ。所属支店や部署が異なることもあって、午前中はやや緊張した面持ちの人が多かった。
だが、午後になってアセスメントのタイプが違う人とのコミュニケーションなど具体的な研修になると、生き生きと話しはじめ、グループごとに笑顔で会話する姿が多くみられるようになった。
「コミュニケーションスキル」が高いと思っていた男性(入会13年目)は「後輩や同僚、先輩との付き合い方を体系的に考えることができたし、これから変えていくことができることが分かり、この研修は役に立つ」。
また「お客様にもいろいろなタイプがあるので、こういう人にはこういう対応をと応用が効くことが分かり勉強になりました」という男性。
「自己分析ができ、相手がどのタイプか分かると、互いの強み弱みを知って連携してチームワークがとれそうだ」と感想をもらした女性もいた。
支店で渉外担当者5名をまとめている男性は、「ミーティングで私が一方的に喋ってしまうことが多いが、研修で指摘を受けて5人のタイプを考えて質問をしたり、要望を聞かないといけないと思った。コミュニケーションがうまくとれれば仕事がうまくいく」。そしてフォロー研修に参加してスキルアップしたいと意欲を語ってくれた。
西條正美総務部次長は、全職員に実施したいが、「人数が多いので、そうもいかないが、管理職になった職員に実施できたらと考えている」。そして「コミュニケーションの広がりを大切にしていきたい」とも。
(関連記事)
・円滑な人間関係をつくる ――職員力を高めるDiSC研修――(17.06.27)
・DiSC研修とは? (16.08.03)
・ トップ企業でのDiSC活用例(16.07.08)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日