自己改革「正念場の一年」-中家JA全中会長2018年4月9日
JA全中の中家徹会長は4月5日の定例会見で30年度のスタートにあたって、農協改革の推進集中期間が来年の5月までとされていることをふまえ「30年度は本当に重要な正念場の1年。強い決意のもとJAグループ一丸となって取り組んでいく」と強調した。
◆自己改革を加速化
中家会長は自己改革の取り組みについて「JAグループの強みである総合事業性を発揮し、食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として改めて組合員、地域の人とつながりを強化して評価してもらうことが重要だ」と述べた。そのうえでこの秋からは都道府県段階のJA大会、来年3月には第28回JA全国大会が開かれる年度であることをふまえ「これまでの取り組みが組合員から評価される時期が近づいている。これまでの取り組みをさらに加速させて『農業者の所得増大』、『農業生産の拡大』、『地域の活性化』を実現して自己改革を完遂させていきたい」と改めて、決意を表明した。
また、4月9日にはパリで開かれるICA(国際協同組合同盟)理事会に出席することに触れ「世界の協同組合運動にも積極的に参画していきたい。協同組合は国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)でも重要な役割をもっている。JAグループとしてSDGsに取り組んでいくことが重要」と強調した。
(写真)中家徹・JA全中会長
◆食料安保政策確立を
JA全中は4月から基本政策対策室を新設したがその狙いについて中家会長は、食料・農業・農村基本計画の概ね5年ごとの見直しを視野に入れたもので、次回見直しでは「食料安保について書き入れて基本政策として確立すべきではないか。その思いがあって新たな部署として設置した」と話す。
カロリーベース食料自給率を37年に45%に引き上げるという目標を掲げた現在の基本計画は27年3月に閣議決定された。4回めの見直しだが、その前の計画で掲げた自給率50%目標を引き下げた。前回の見直しが審議会企画部会に諮問されたのは、閣議決定1年2か月前の26年1月だった。かりに次回の基本計画を32年3月に決定し、前回と同様のスケジュールを描くなら来年1月にも諮問され、議論がスタートすることも考えられる。
中家会長は審議会委員でもあり、現在は5月に閣議決定される「食料・農業・農村白書」の審議にあたっている。これまでの審議会で自給率が先進国最低という低さについての書きぶりが弱いのではないかなどと指摘し、食料や農業の実態とともに「これからどうするのかを国民に知らせることも白書の役割」と強調して政策の方向を示すべきだと指摘している。これらの意見をふまえ、農水省は「白書案」を4月12日の審議会に示す。
一方、農業・農村を広く「田舎」としてとらえ、それを守っていこうと自民党国会議員有志が70人ほど参加して「地域の農林水産業振興促進議員連盟」が立ち上がった。会長の竹下亘自民党総務会長は本紙インタビュー(3月30日号)で「規制改革推進会議のように農村の暮らしを知らない委員が農業を議論しているのは疑問」と述べている。
会見で中家会長は「いわゆる現場に近い議員がこういうかたちで問題意識を持って新たな議員連盟をつくったことについてはわれわれも非常に心強いと思っている。竹下会長は食料安保に非常に関心を持っていただいている。今後とも意見交換に取り組んでいきたい」との考えを示した。
4月からはJAグループでも新職員が仕事を始めている。
「激動の時代。とくにJAには人材が重要」と強調し、4月2日の新規採用職員研修などでは新人たちに向けて「協同組合運動者という感覚と全国連では現場目線をもってほしい。それぞれの職場で存在価値のある職員になってほしいと呼びかけた」と期待を寄せた。
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