農の価値 食べ物の適正価格 積極発信を-JA全国青年大会 パネルディスカッション2021年2月18日
JA全国青年大会では「コロナ禍における農産物の今後-消費者はどう動き、生産者はどこをめざせばよいのか」をテーマにパネルディスカッションを行った。

パネルディスカッションでは、農と食のジャーナリストの山本謙治氏がミニ講演を行った。(写真)
コロナ禍で外食産業が大打撃を受ける一方、巣ごもり需要で量販店や生協、通信販売などの小売業界が息を吹き返した。
飲食店は先行きが見えず当惑しているが、都市部では世帯人数の減少から「お一人様業態」や一人焼肉など拡大し、また、健康志向業態も堅調だという。ただ、食事提供のみで飲酒サービス市場は減少すると見込む。
山本氏は「個食化」が進みことや、健康、衛生、栄養重視志向に進むことは明らかだと指摘する。
ただ、量販店で売れ行きが好調になるなか、農産物価格への下げ圧力が強まることも予想する。量販店では付加価値よりもそもそも安ければいいという消費財(コモデティ)として販売される場だからだ。山本氏は「価格形成を流通に任せてきたツケがきている」と指摘、これからの生産者やJAは農の価値と食べ物の適正価格、生産者が存立できる基盤を自分たち自身が表現し農業現場から国民にメッセージを送る「表現型農業をめざせ」と提起した。おいしさやこだわりのある栽培方法などの発信、さらに20代以下のSDGsネイティブ層にも着目すべきだいう。
こうした提起に対してパネラーの浪岡篤志JA全青協理事(青森県農協青年部協議会委員長)は「今は消費者と近づくことができる状況。都市部に直売所を作るべき。生産者も農産物の食べ方まで伝えたい」と情報発信の重要性を強調した。
竹内孝輔理事(福井県農協青壮年部協議会会長)は、需要の変化を肌感覚で知ることも大事で、農業者は今後は加工業務用生産にも家庭用生産にも対応する必要があるのではないかと話し、「一日一日の積み重ねで国民の食を守っていきたい」などと話した。
山本氏は「ポートフォリオの考えで農業経営を」と提起し、たとえば業務用、家庭用とも視野に入れた生産が必要になると指摘した。そのうえで「食べ物が大切だということにこれほど人々が立ち返ることはなかった。国産が大切だということを発信するチャンス。効果的な取り組みを」と提起した。コーディネーターは柿嶌洋一副会長が務めた。

写真右から竹内理事、浪岡理事、山本氏、柿嶌副会長
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