英国のTPP加盟 実質妥結 精米の関税撤廃 日本 米輸出に弾み2023年3月31日
TPP担当の後藤茂之経済再生担当大臣は3月31日、英国のTPP11への加入交渉が実質的に妥結したと発表した。加盟国による共同声明も公表された。
内閣府で会見するTPP担当の後藤経済再生担当大臣
TPPは米国の離脱によって現在、11か国によるTPP11(CPTPP)として発効している。
加盟を申請したに向けた交渉は2021年6月から始まり、日本は加盟作業部会の議長を務めている。
31日は午前8時からオンライン会合を開き関係閣僚は共同声明で「加入交渉の実質的な妥結」を明記した。今後は条文づくりを行い関係国が署名。その後、各国の国内での承認手続きを経て発効する。関係国による署名は今年のTPP11議長国であるニュージーランドが夏に閣僚会合を開く意向を示しており、作業が順調に進めば署名が行われる可能性もある。
共同声明では英国が「最高水準の市場アクセスのオファーを提供したことも確認した」と明記。農産品では短粒種、中粒種の精米の関税を撤廃することを約束した。
現在は1㎏当たり約20円の従量税がかかっている。撤廃時期や段階的か即時撤廃かなどは条文のなかで示されるとして政府は明らかにしていない。
英国向けの精米輸出は2022年に500tで欧州ではもっとも多く、関税撤廃で輸出に弾みがつくとして野村農相は同日の閣議後会見で「米農家のみなさんとっては明るいニュース」と話した。
一方、交渉で日本が「こちらから譲ったものはない」(野村農相)としている。EU離脱後の英国は日本とEPAを締結し2021年1月に発効している。同協定のなかで英国は牛肉など関税撤廃を約束している一方、精米についての関税は残った。それがTPP11への加盟で撤廃されることになる。
その他、関税割り当て枠などの数量は現行を維持し、英国向けの枠を設けているわけではないという。農水省は現行のTPP11、日英EPAの範囲内で妥結で「国内の農林水産業への影響はない」とする。
TPP11の11か国のGDP合計は2021年で1557兆6000億円、そこに日本に次ぐ英国の442兆4000億円が加わり合計1980兆円となる。世界経済の255程度となる。
後藤担当大臣は「環太平洋にとどまらず、自由貿易、開かれた競争的な市場、ルールに基づく貿易システム、経済協力などをさらに促進するうえで非常の大きな意義を持つ。今後は早期の署名をめざして関係各国と緊密に連携していく」と述べた。
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