東京都が下水からリン回収、肥料に 農業関係者が施設見学 JA全農と連携2024年2月13日
東京都は2月8日、江東区にある砂町水再生センターのリン回収・肥料化施設で、農業関係記者や農業関係者の施設見学会を行った。今年1月末に完成し、運転を始めたばかりの施設で、ケイ酸カルシウムに吸着させて下水からリンを回収する新しい技術を導入し、年間70tのリンを生産できる。JA全農と連携し、肥料の原料として利用に供する。
農業関係記者等の施設見学会
この施設は、東京都は国交省の「新たなリン回収システムによる下水道の資源化に関する実証事業」で設置した。東京都は全国の下水処理量の約1割を占め、リンを含有する多量の下水汚泥が発生している。
リンは窒素カリウムと並び、肥料の主要な資源。日本はほぼ全量を中国やモロッコなどからの輸入に依存しているが、中国などの輸入規制で近年、国内価格が不安定になり、安定した調達先が求められていた。東京都は、コスト高や回収率を検証し、プラントの増強や近隣県にも肥料を供給できる体制づくりも視野に入れ実証事業に取り組んだ。
下水再生リン(中央)
リン回収プラントは、下水処理の過程でリンと結合しやすい吸着剤(リン酸カルシウム)を混ぜて、吸着、沈殿させるという仕組みで、比較的低コストで、さまざまな成分が含まれている下水からリンだけを吸着できる。
「実証試験を始めたばかりだが、見込通りの回収ができた。野菜の栽培も含めて2年間の実証試験を得て、製品化したい」(東京都下水道局)と自信を示す。JA全農は昨年12月、東京都産の下水再生リンの広域での肥料利用について連携協定を締結した。肥料の製品開発や市場・流通についての調査を行う。
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