第50回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール 各賞が決定 JA全中2025年12月2日
JA全中は12月1日、小・中学生を対象にごはんやお米にまつわる作文や図画を募った第50回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの結果を発表した。
同コンクールは1976年から開催され今回で50回目を迎えた。現在はJAグループが推進している「みんなのよい食プロジェクト」の一環として実施している。ごはん、お米はもちろん、稲作をはじめとする農業についての学びを深めてもらい、優れた作品を顕彰することを通じてごはんやお米の重要性を広く周知することを目的としている。
今回の応募点数は作文部門2万6972点、図画部門3万9170点だった。
各都府県での審査を経て11月11日と14日に全国審査会(審査委員長:教育評論家・尾木直樹氏)を開催して内閣総理大臣賞(2名)、文部科学大臣賞(6名)、農林水産大臣賞(6名)、全国農業協同組合中央会会長賞(6名)ほか各賞を決定した。
内閣総理大臣賞には作文部門で三重県の学校法人三重高等学校三重中学校3年の大西眞廉さんの「おばあちゃんの宝物」が選ばれた。
【講評】夏休みに祖母を訪ねたところから始める穏やかな書き出しだったが、いつもの祖母の様子と違う。米を取りに納戸に行くと袋の中に小石が混じった玄米を発見。祖母はそれを「宝物」だという。その意味を知り炊飯し食べた終章まで、著者や祖母の心の動きを素直な表現でドラマチックに描かれ一片の小説のようだった。
『おばあちゃんの宝物』
三重中学校三年 大西直廉
「ただいま、おばあちゃん。」
僕は夏休みを利用して、遠方で一人暮らしをする祖母に会いに行った。
久しぶりに会った祖母は、「お帰り。遠くから来てくれてありがとう。」と微笑んで出迎えてくれたが、何となく元気がないように感じた。僕は思わず、「おばあちゃん、体調でも悪い?」と聞いてしまったが、「大丈夫だよ。歳だから足腰は痛いけどね。」と、祖母は笑いながら答えた。
そんな祖母を見て、僕は、何か手伝うことはないかと聞いてみた。すると、「ありがとう、大丈夫だよ。ご飯ができるまで奥の部屋で休んでいて。」と祖母は言った。僕は一度、奥の部屋へ行ったが、祖母が気になり、すぐに祖母がいる台所へ戻った。ご飯の準備で、せかせかと動き回っている祖母を見て、僕は、「ご飯、炊こうか?」と言ってみた。
すると、「えっお米とげるの?」と、祖母はびっくりした様子だったが、僕が母から特訓を受け、炊飯器をセットできるようになったことを話すと、納得してくれた。
早速僕は、米びつがある納戸へ行くと、米びつの隣に大きな米袋があるのに気付いた。その袋を開けてみると、中には玄米が入っていた。僕は、見慣れない玄米を思わず両手ですくってしまった。
手の中の玄米は、小石が混じっていて、食べられる米ではなさそうだった。僕は、米びつの中の精米されたきれいなお米を持って台所へ戻った。そして、「米びつの隣にあるお米の袋、あれ何?」と祖母に聞いた。すると祖母は、
「あれは宝物だよ。」
と優しく笑った。僕は、『宝物』の意味が分からず不思議に思い、詳しく聞いてみると、それは、二年前に他界した祖父が、亡くなる前の年に収穫した、最後の米だった。
祖父は兼業農家で、会社を定年退職した後は、少しだけ米を作っていた。しかし、その年は台風が直撃し、全ての稲が倒れ、水に浸かって全滅してしまったらしい。祖父の心中は、僕の想像より遥かに辛かったと思う。通常、一度倒れてしまった稲は、処分してしまうらしいが、祖父は諦めきれず、倒れた稲をできる限り起こして、収穫したそうだ。祖父はこの重労働を一人でこなし、二俵弱の米を収穫することができた。もちろん、その米は売り物にはならない。しかし、どうしても破棄できなかった祖父の気持ちは、痛い程よく分かる。そして、祖父が最後に収穫した米を『宝物』と言う祖母の真意も理解できた。
その話を聞いた僕は、祖母のために、この宝物でおにぎりを作りたいと提案した。
「これは、美味いお米じゃないから...。」と、祖母はためらったが、僕は食い下がった。
「宝物のお米で、元気になってほしい。」
僕がそう言うと、祖母はニッコリ笑った。
僕は早速、宝物を新聞紙の上に広げ、祖母と一緒にゴミなどを取り除いた。細かい石などが混じっていて、とても面倒な作業だったが、祖母との会話は弾み楽しかった。
異物を取り除いた玄米を精米機にかけて、僕はその米をといで、炊飯器で炊いた。
ピピーと、炊き上がりを知らせる音を聞き、祖母と一緒に炊飯器の蓋を開けると、湯気がホワーと上がり、美味しそうな香りが漂った。僕は、炊き立てのご飯に、祖母が用意してくれた、梅干しや昆布を詰め込んで、おにぎりを握った。不格好な形のおにぎりがいくつもできた。それを見た祖母は「美味しそうだね。ありがとう。」と言ってくれて、食卓に並べた。
祖母がおにぎりを一口食べた時、僕の頭の中におじいちゃんの笑顔が浮かんだ。そして、祖母が少しだけ元気になったような気がした。
図画部門は広島県の安芸高田私立美土里小学校2年の石川夢弓さんの『心を込めて大きくなーれ!!』。
【講評】田植えの手元を描いた。家の田植えを手伝った時のことを思い出しながら描いたのでしょうか。もう幾つも植えたのでしょう、指先は田んぼの土がついて茶色です。そして大人の指かなと思う位の太い指が苗をしっかりとつかみ、大地にぐいと差し込んでいます。一つ一つの苗を心を込めて植えた思いが伝わってくる見事な作品になっています。
その他の賞は以下の通り。(敬称略)
【文部科学大臣賞】
作文部門
(第1部)
香川県丸亀市立郡家小学校1年 香川葵斗『ずっとまもりたいじまんのけしき』
(第2部)
岩手県西和賀町立湯田小学校6年 加藤未紗姫『私の大好きなお米』
(第3部)
茨城県土浦市土浦第四中学校9年 小倉美南『先、生、のおむすび』
図画部門
(第1部)
栃木県那須町立東陽小学校1年 笠井晴太『かっこいいコンバインでいねかり』
(第2部)
岩手県岩手県立一関清明支援学校小学部5年 渡辺陽向『たうえはどろどろ』
(第3部)
宮城県大衡村立大衡中学校3年 岩間愛瑠『おいしく育て』
【農林水産大臣賞】
作文部門
(第1部)
新潟県上越教育大学附属小学校3年 池田明日翔『心にもしみた思い出の味』
(第2部)
栃木県大田原市立川西小学校6年 橋本怜於『祖父とともに作る』
(第3部)
岩手県一関市立一関東中学校3年 千葉心遥『水見半作~祖母と一緒に流した汗~』
図画部門
(第1部)
千葉県野田市立尾崎小学校2年 遠藤彩千花『私の朝ごはん作り』
(第2部)
新潟県上越市立飯小学校6年 中村倫子『輝くお米の収穫』
(第3部)
和歌山県串本町立串本西中学校2年 林根夢『いただきます』
【全国農業協同組合中央会会長賞】
作文部門
(第1部)
栃木県那須塩原市立西小学校1年 前垣百『じいじのおこめ』
(第2部)
広島県福山市立神辺小学校6年 門田直樹『じいちゃんに届けたいごはん』
(第3部)
佐賀県佐賀市立城東中学校1年 射手矢咲子『最後のたんぼと始まる未来』
図画部門
(第1部)
島根県出雲市立大津小学校3年 佐藤伸『お気に入りの茶わんに入れたもりもりごはん』
(第2部)
熊本県山都町立矢部小学校4年 告本百合佳『おぼんはみんなでおいしいご飯』
(第3部)
滋賀県愛荘町立秦荘中学校3年 藤田明和音『祖父のメガ盛り弁当』
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