JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー】 公認会計士監査の概要と対応(上) ポイント押さえ最短距離で2016年11月18日
会計基準を厳格に適用
内部統制運用をチェック
昨年の農協法改正でJAの監査は平成31年9月までに公認会計士監査に移行することになった。これまでのJAグループ内のJA全国監査機構による監査がなくなり、一般の企業と同じ監査基準が適用される。移行期間中はJA全国監査機構が新たにつくる監査法人か、公認会計士監査かのいずれかを選択することになるが、内部統制の確立や監査費用負担など、今から検討しておく必要がある。新世紀JA研究会の課題別セミナーでは、有限責任監査法人トーマツJA支援室の公認会計士・戸津禎介氏、高山大輔両氏が報告した。
【はじめに】 2016年4月に農協法が改正され、農協改革の全貌が見えてきました。平成33年3月に向けては准組合員の利用規制のあり方について継続的な調査・検討が実施されることとされるなど、農協改革への取り組みには予断をゆるさない状況となっています。
農協改革としてやるべきことは何でしょうか。端的に言うならば「あるべき農協像を再確認し、実現し、PRする」ことを、限られた時間の中でやりきることです。
このような中、農協改革の1つとして「公認会計士監査の導入」が決定されました。しかしながら、「公認会計士監査への対応」は農業所得の向上や地域社会の貢献に直接つながるものではなく、また、あるべき農協像の実現に直接つながるものでもありません。このため、「公認会計士監査への対応」は農協改革対応の本丸ではないといえます。本丸に経営資源を集中させるためにも、公認会計士監査対応は最短距離で済ませることが重要です。
ここでは、農協における公認会計士監査対応のポイントを解説していきます。
【公認会計士監査とは】
公認会計士監査の特徴は「厳格な監査」であり、農協は決算書が正しく作成されていることの説明を厳格に求められます。具体的には二つの特徴があります。
一つ目は会計基準の厳格な適用です。いわゆる会計ビッグバンとよばれる新しい会計基準の導入が進められ、会計には「見積り」と呼ばれる要素が多く含まれるようになりました。例えば「減損会計基準」や「税効果会計基準」があげられます。これらの会計基準は、判断の仕方により異なる決算書が作成されます。そのため、公認会計士は農協に対して判断の根拠の説明を求めます。
二つ目は、公認会計士は農協の内部統制についても確認するという点です。公認会計士がすべての取引をチェックして、決算書が正しいことを確かめることは不可能です。そのため、公認会計士は、監査の過程で、農協が決算書を正しく作成するための内部統制を運用できていることを確かめます。
このうち二つ目の特徴は監査報酬にも影響するといわれています。公認会計士の監査報酬は公認会計士が稼働する監査時間に応じて決まります。農協の内部統制が優れている場合、公認会計士はその内部統制を存分に活用できるため公認会計士が実施する監査手続(監査時間)が減ります。逆に農協の内部統制が脆弱な場合、公認会計士は自らの監査手続を増やすことで、決算書が正しいことを確かめなくてはなりません。
(写真)質問に答える公認会計士の戸津(左)、高山の両氏
【本文に関する問い合わせ先】
▽戸津禎介 090―6014―9385 tadasuke.tozu@tohmatsu.co.jp
▽高山大輔 090―6495―8342 daisuke.takayama@tohmatsu.co.jp
・【総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー】公認会計士監査の概要と対応(下)ー内部統制面の具体的な対応のポイント、まとめ
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