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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2018.12.03 
【意見交換】監査は財務諸表に限定 非監査業務は別契約で一覧へ

 【澄田・JAしまね】 公認会計士監査では、手続き書が必要なのでしょうか。当JAでは、 全中が示すチェック項目を中心に対応したい。手続き書をそろえろと言われても無理。監査法人からみて、どのように対応すればいいのでしょうか。

 

 【戸津・監査法人トーマツ】 監査の効率化、ひいては監査費用の低減のためには、何らかの文書化が推奨されます。といいますのは、もし何らの文書もない場合、監査人からの質問に対して全て口頭で回答しなくてはなりません。これは監査を受ける側もする側もある程度の非効率が生じます。RCM(リスクコントロールマトリックス=財務報告に係わるリスクとリスクに対応するコントロールを対比して一覧化したもの)や全中・中央会で推奨する「業務フローとチェックポイント」など、何らかの文書の用意が望ましいでしょう。
 公認会計士監査は決算書のどこに間違いがある可能性があるのか(リスク)から逆算して監査をする事務手続を特定します。そのため、リスクをどのように低減できているかをある程度説明できることが重要です。

 

 【福間・新世紀JA研究会】 トーマツさんの報告で、会計監査法人選任の手順について説明がありましたが、全国のJAのなかで、この手続き踏んでちゃんとやれる農協は、どの程度あるのでしょうか。

 

 【戸津】 ご説明した手順はあくまで目安であり、日本監査役協会の実務指針を参照したものです。ポイントは監事が対外的に合理的に説明できるか、であり、その意味ではどこのJAでも何らかの方法で選任理由をまとめられると考えています。

 

 【福間】 監査の結果、監査意見が出せないということはあるのですか。また、公共性が高いということで、農協では信用事業を別にするべきだというような監査意見が出るようなことはあるのですか。

 

 【戸津】 まず前段については、一般事業会社では大規模な粉飾が発見された、あるいは企業と会計監査人との間で会計処理の見解に不一致が生じて解消できないなどの理由で、適正意見が出ない事例はあります。監査論としては農協監査でも可能性はゼロではないですが、相当に低いのではないかと考えています。
 後段については、公認会計士監査はあくまで決算書が正しいかを確かめることが目的ですので、そのような指摘をする制度ではないとご理解ください。

 

 【白石】 会計監査人は非監査業務はやらないという話があるが、内容的には重なる部分もあるのでは。

 

 【戸津】 公認会計士監査は批判的機能と指導的機能の両輪で成り立っています。そのため、監査の過程においては批判的機能により課題を発見しつつ、監査を受ける側が独自での改善が難しい場合には、指導的機能を発揮して改善に役立つ助言をすることもあります。これは会計監査に付随する非監査業務といえる場合もあるかもしれません。
 このほか、独立性を害さない範囲での非監査業務も一般事業会社では広く行われています。責任や業務の範囲を明確にするため、会計監査契約とは別に非監査業務を契約する場合も多いです。

 

 【寺田・JAあいち豊田】 愛知県でみると、中央会の指導力が強く一体感ある取り組みをしていますが、トーマツさんから見て、ちょっと違うことやっているな、と感じられるところがありますか。

 

 【戸津】 目的が達成されれば、その方法は様々で問題ありません。会計監査人と相談・協議をして進めれば問題ないと思われます。

 

 【藤川・JA下関】 信用、共済はある程度進んでいますが。営農経済は手つかずの状態です。山口県は12農協が1県1農協をめざしていますが、それぞれの農協のやり方を合せるのではなく、全く新しいやり方が早いのではないかと思っています。

 

 【澄田】 1県1JAの経験として、条件の違う農協を一括りするのは難しい。最低のところは抑えておく必要があります。合併して一つのやり方でというのは分かりますが、公認会計士と相談し、ここだけはというところを抑え、その後システム統一を進めていくという長い目が必要ではないでしょうか。

 

 【福間】 信用事業兼業は必要です。しかし監査の目からみて、経済は千差万別なので、難しい。兼営している組織についての監査意見はどうなるのでしょうか。

 

 【戸津】 繰り返しになりますが、公認会士監査では、信用事業を分離せよというような提言はしません。

 

 【井上・監査法人トーマツ】 農協は信用譲渡すれば、会計監査を受監しなければならない義務はなくなりますが、政治的にそういう流れができないように内部統制をしっかりやる必要があります。つまり、内部統制ができていないJAの監査を引き受けると、監査法人そのものも問題になります。このような共倒れは避けなければなりません。

 

 【宮永・JAはだの】 3月決算以外の農協は公認会計士を選任するための時間がもうあまりありません。内部統制ができていないとどうなるのでしょうか。

 

 【戸津】 農協は上場企業ほど内部統制が義務付けられていません。従って、個々のJAが、重要なところをきちんと抑えておけばいいのではないでしょうか。

 

 【宮永】 本当にしっかり対応できるのか。監査難民が出ないようにしなければならない。JAは内部統制が法制化されていないから、それでいいというものでもない。

 

 【荒井・JA東とくしま】 われわれのように山村を抱えたJAでは、所得向上のため総合事業は不可欠です。経営効率化のため支所・店舗の統廃合を進めていますが、施設を地域の活性化に活用したいと思っています。そうした中山間地帯については、法的措置についてもいい知恵はないか考えています。

 

 【白石】 何のための監査か。組合員のため、社会をよくするための協同組合の監査だということをこれから考えていく必要があると思います。
(発言者の敬称・肩書きは略しました)

 

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

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