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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2019.03.22 
協同の理念の共感を 都市農業への理解さらに【宮永 均・JAはだの専務理事】一覧へ

・トップの“思い” 職員・組合員へ

 農協組織が大きな転換期にあるなかで、組合長を中心とする経営のトップ層である常勤役員の役割が大きくなっている。どのような総合農協の将来ビジョンを描くかが問われている。トップ層は農協への「想い」を持ち、職員や組合員に伝えなければならない。2月の緊急特別セミナーで、組合長・常勤役員にいま必要とされるものについて報告してもらった。

JAはだの専務理事 宮永均氏 いま組合長や管理担当役員に求められるのは、農業協同組合のアイデンティティ、特性の位置付けを明確にして組織・事業・経営を再構築することです。そのなかでもJAはだのでは、都市農業の活性化が最重要課題だと考えています。というのも2022年に生産緑地制度が30年の期限を迎えます。この後どうなるか心配です。
 管内には、市街化区域に約200haの農地があります。うち100haが生産緑地ですが、ほとんど後継者が見当たらず、団塊の世代が70歳を超え、次の農業の姿も描けません。
 次に協同組合理念を組合員と共に共感し、組織の結集力を強化することです。支所運営委員会や組合員座談会を通じた対話活動などで組合員との結びつきを強めなければなりません。また「縦・横・斜め」のインフォーマルな職場づくりを進め、協同組合のことが分かる職員を養成することが大事だと考えています。
 一方、いま多くの農協で公認会計士による監査移行への準備中だと思いますが、重要な課題に准組合員の事業利用規制への対応があります。「利用規制はない。大丈夫だ」という声もありますが、本当にそうでしょうか。さらに信用事業代理店化への対応も考えなければなりません。

(写真)宮永均氏

 

◆監査対応は先をみて

 公認会計士監査では、当面、移行に伴うレビュー(事前調査)とタスクのクリアが必要です。全国監査機構監査をもってレビューとすることができると言われていますが、その根拠がはっきりしていません。また会計士監査に対応するには内部統制の強化が重要ですが、事務統一手順書の基準で大丈夫なのか。検討が必要です。
 これまでの政府・規制改革会議の「改革」を振り返ると、他業態とイコールフッティングの考えできており、非営利法人の監査基準はありません。タスクには12項目もの実施事項があり、これをクリアしなければなりません。本当にできるのかな、と心配していますが、一つひとつクリアしていかなければなりません。
 JAグループのみのり監査法人は60名の公認会計士と、農協監査士500名で対応すると聞いていますが、公認会計士施行令には農協監査士の規定はありません。十分に対応できるのでしょうか。
 さらに公認会計士監査の費用とJA賦課金負担の問題があります。政府は改正農協法で「監査を受ける農協の実質的な負担が増加することがないように配慮する」となっていますが、農水省は「監査の負担を税金で補償できない」としています。実際のところはどうなのでしょうか。JAはだのの2018年度の賦課金は2185万円で、19年は公認会計士監査費用1500万円、賦課金1685万円で、合計3185万円となり、1000万円増額になる見込みです。
 1919~21年度の農林中金からの奨励金は現状に近いが、それ以降は分かりません。JAは経営収支悪化で、賦課金負担の増加、監査コストの引き上げはなかなか対応できないのではないでしょうか。しっかり精査して考なければなりません。中央会の賦課金を削るしかないとなりかねません。公認会計士監査は法律で決まっています。先を見て対応が求められます。

 

◆准組合員の組織化を

 准組合員の利用規制について、農水省は2019年度の予算で、調査費を計上しています。当局は用意周到に準備しているのです。農水省は農協改革が始まって3年、認定農業者へのアンケート調査をやっており、農協改革の実施状況を調査しています。JAの調査では90%超がJA改革を評価していますが、認定農業者の評価は半分にも達していません。調査結果は規制改革推進会議の農協評価に直結します。組織を挙げて、組合員の理解を得る取り組みが求められます。
 准組合員問題は、農業者がJA組織の一員として准組合員を必要としているかが問われているのです。もう一度、正・准組合員の理解が得られる活動の取り組みが必要です。准組合員利用規制は都市農業の最重要課題であり、限られた時間のなかで、みんなの知恵を出し合い、一丸となって取り組んでいく方針です。
 新世紀JA研究会では、准組合員の組織化について検討していますが、JAはだのでは、秦野市、農業委員会の三者による「はだの都市農業支援センター」が中間管理組織としての機能を果たし、特定農地貸付法を活用して、10㌃1万5000円で農地を借り、利用者に年間100平方m6000円で貸付ける事業を行っています。約250名が家庭菜園を営んでいますが、うち90人が准組合員です。また市民農業塾では修了した90人のうち、70人が就農し、うち60名が非農家出身で12haを利用しています。また、はだの農業満喫CLUBは650人の会員を組織しています。
 昨年から始めた体験農園は園主が栽培指導し、種や苗、肥料などは園主が用意し、市民に農業に親しんでもらう事業です。これらは准組合員の農業理解の活動の一つと考えています。利用権設定や特定農地貸付法などの仕組みや制度を活用してさまざまな農業参入、利用権設定で、さらに拡大していく方針です。

 

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

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