JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第1回 完全自動飛行ドローンの規制2019年4月12日
担い手の経営規模の拡大が進む中、農業生産における労働力不足がますます深刻な課題となっています。そのため、農作業の効率化、省力化に向けた技術開発が進められており、当然ながら防除方法の効率化・省力化が求められています。
そのような中、防除の省力化に役立つ完全自動飛行ドローンの規制が発表されましたのでご紹介します。
1.これまでのドローン規制
農薬を空中から散布する場合、散布者は航空法と農薬取締法の規制を受けます。これに加え、農水省の「空中散布における無人航空機利用技術指導指針」と農林水産高級協会の産業用マルチローター「安全対策マニュアル」に基づいて、安全な防除を行う必要があります。
1)航空法の規制を受ける事項
(1)原則飛行が禁止されている空域(以下)を飛行しないこと。飛行する場合は、安全面の措置をした上で国土交通省の認可を受ける必要があります。
【原則、飛行が禁止されている空域】
▽地表または水面から150m以上の高さの空域
▽空港周辺の空域
▽人口集中地域の上空
(2)飛行場所に関わらず、以下の目的で飛行させる場合は安全面の措置をした上で、国土交通大臣の承認が必要になります。
▽夜間飛行、・目視外飛行、人・物財などとの距離30m未満の飛行、イベント上空飛行、危険物輸送、物件投下(農薬はこれにあたる)
2)農薬取締法の規制を受ける事項
(1)農薬の使用にあたっては、農薬のラベル記載事項を遵守して使用しなければなりません。
【遵守事項】
適用作物、適用病害虫雑草、使用量または使用倍率、使用時期(収穫前使用日数)
使用回数
(2)登録農薬を使用すること。
▽使用方法に「無人ヘリコプターによる散布」と記載されている農薬
▽使用方法に「散布」と記載されている農薬
(3)農薬散布を実施する前に近隣地域への通知を行うこと。
3)産業用マルチローター「安全対策マニュアル」
法規制ではありませんが、農薬を安全に空中散布するための散布者の守るべき基準として守られてきた内容です。
(1)オペレーターの認定を受け、作業中は認定証を携帯する
(2)認定整備事業者による定期点検済の機体を使用する
(3)散布作業前の段取りを確認すること
→近隣への事前周知、天候、散布区域、風向・風速(3m/s以下)、養蜂や養魚等の施設確認、駐車場の位置確認、有機農産物生産ほ場の位置確認 等
(4)散布飛行の基本順守(作物体上高度2m、速度15km/h等)
(5)都道府県協議会に対する作業後の事業報告
2.完全自動飛行ドローンの規制
技術の進歩により、GPSによる位置情報を登録することにより、完全自動飛行するドローンが開発され、続々と上市されています。
それに先立ち、農水省より「完全自動飛行ドローンによる空中散布ガイドライン」が公表され、従来の規制が変わりました。
これにより、完全自動飛行ドローンによる省力的な防除が実施できるようになりました。
1)航空法の規制を受ける事項
(1)原則、飛行が禁止されている空域に関する規制については変更ありません。
(2)飛行目的では以下の点で変更になった場所に関わらず、以下の目的で飛行させる場合は安全面の措置をした上で、国土交通大臣の承認が必要になります。
夜間飛行、目視外飛行、人・物財などとの距離30m未満の飛行、イベント上空飛行、危険物輸送、物件投下(農薬はこれにあたる)
2)農薬取締法の規制を受ける事項には変更ありません。
3)産業用マルチローター「安全対策マニュアル」
法規制ではありませんが、農薬を安全に空中散布するための散布者の守るべき基準は以下のとおりとなりました。
(1)国土交通省の認可を受けた完全自動飛行ドローンを使用すること
(2)散布作業前の段取りを確認すること
→近隣への事前周知、天候、散布区域、風向・風速(3m/s以下)、養蜂や養魚等の施設確認、駐車場の位置確認、有機農産物生産ほ場の位置確認 等
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