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【今さら聞けない営農情報】第20回 土壌の改良(4) 塩基類2019年9月30日
前回までに、土壌改良の基礎として「pH」と「EC」、「CEC」の意味と改良の仕方を紹介しました。今回は、肥料分として大きな影響のある塩基類について紹介します。
1.塩基類を調べる
塩基類とは、土壌に含まれる塩基であるカルシウム、マグネシウム、カリウムのことを指します。これらは、作物の生育に大きな影響があり、それぞれが異なった生理作用を示します。例えば、カルシウムは、作物の細胞膜の形成に関与して根の生長促進作用を示し、欠乏するとトマトでは尻腐れ果症状を示します。これらの作用は、塩基によって異なりますので次の表を参考にして下さい。

塩基類の基準値は、塩基飽和度(%)と塩基構成比で表されます。塩基飽和度とは、土壌のCEC(陽イオン交換容量)に占める石灰(CaO)と苦土(Mg)とカリ(K2O)の割合のことをいいます。つまり、石灰と苦土とカリは、いずれも作物の生育に必要なものであり、健全な生育をするには、これらが土壌の中にバランス良く含まれていることが必要になります。人間の食事バランスと同じようなものです。
地力増進基本指針における塩基飽和度の基準値は以下のとおりです。
<水田>
70~90%:灰色低地土、グライ土、黄色土、褐色低地土、灰色台地土、グライ台地土、褐色森林土
60~90%:多湿黒ボク土、泥炭土、黒泥、黒ボクグライ土、黒ボク土
<普通畑>
70~90%:灰色低地土、黄色土、褐色低地土、灰色台地土、泥炭土、褐色森林土、暗赤色土、赤色土、グライ土
60~90%:多湿黒ボク土、黒ボク土
70~90%:岩屑土、砂丘未熟土
<樹園地>
50~80%:茶園以外、全ての土壌(茶園の場合は25~50%)
塩基構成比目標は、作物共通で、石灰(65~75):苦土(20~25):カリ(2~10)です。
2.塩基類の測定
塩基類の測定は、土壌に吸着されている塩基に酢酸アンモニウムと交換反応させて抽出します。その後、カルシウムとマグネシウムは比色法や原子吸光光度法、カリウムは比濁法や炎光光度法で測定します。(実際には分析機関に依頼して下さい)
3.塩基類の改良
塩基類の改良は、上記の基準値と照らし合わせ、不足する塩基を足してやることで改良します。不足している塩基量は、土壌分析結果と、CECおよび塩基毎の目標飽和度を使って計算します。この際、使われる肥料成分の量は、一般的に酸化物の量で示されます。つまり、石灰はCaではなくCaO、苦土はMgではなくMgO、カリはKではなくK2Oの量で示されます。ちなみに、リンはPではなくP2O5、ケイ酸はSiではなくSiO2です。
こうして得られた不足する塩基の量を補うのに必要な肥料分量を計算して、その量を施肥して改良します。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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