JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは21【今さら聞けない営農情報】第140回2022年3月5日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材をご紹介しました。今回から、別表2で示された資材を実際に使用する際の留意点を紹介していきたいと思います。別表2に示された資材は、それなりに数があるため、紙面制限の関係上、別表2で紹介されている資材順に連番をつけて紹介していきますので、ご承知おき下さい。では、早速紹介します。
1.除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤
除虫菊には、アブラムシ類やアザミウマ類、小型チョウ目にも効果を示す天然ピレスロイドが含まれており、除虫菊剤はこの天然殺虫成分を抽出して製剤化したものです。この天然ピレスロイドの構造をまねして化学合成で作られたのが合成ピレスロイド(ピレトリン類似化合物)で、現在、農業現場や衛生害虫駆除分野で汎用的に使用されています。
有機農業では、化学合成したものは使用できませんので、除虫菊に含まれる天然殺虫成分であるピレトリンを抽出したものが使用されます。有機JAS規格に適合した除虫菊製剤は、"除虫菊乳剤3"の他、"天然除虫菊エキス(キクチュー)"、"天然除虫菊ドライスプレー"といった製品もありますので、入手できるものを使用して下さい。
除虫菊剤は天然成分で即効性はありますが、分解されやすく残効性は短い傾向にあります。このため、除虫菊剤を効率よく効かせるコツは、害虫を発見したら、速やかに害虫の発生密度が低いうちに、5~7日間隔で2~3回散布すると効果的です。ただし、地域内にピレスロイド抵抗性が発達している害虫が存在するようであれば、その害虫に対しては効果がありませんので使用できません。圃場の周辺の抵抗性害虫発生状況を確認し、もし発生しているようであれば、他の有機農業に適合する防除法を選択する必要があります。
2.なたね油乳剤
なたねから搾油した油が主成分。うどんこ病には、主に胞子の発芽阻害で効果を示すため、発病前から予防的に散布する方が効果的です。ハダニ類に対しては、気門を防いで窒息死させるので、直接ハダニの体に付着するように、葉裏にいるハダニ目掛けて丁寧に散布する必要があります。なので、ハダニの発生シーズンには、ハダニの密度が少ないうちに必ずハダニにかかるように1週間から10日間隔で定期的に散布する方が効果的です。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ダイズ、野菜類、花き類にオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年9月3日
-
【農協時論】小さな区画整理事業 生産緑地保全と相続対策の要に JA東京スマイル 眞利子伊知郎組合長2025年9月3日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 愛媛県2025年9月3日
-
【注意報】ねぎ、キャベツなどにシロイチモジヨトウ 府内全域で多発のおそれ 大阪府2025年9月3日
-
【注意報】いちごに炭疽病 県下全域で多発のおそれ 愛媛県2025年9月3日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の仕上げ防除 カメムシ対策は必須 暑さで早めに対応を2025年9月3日
-
ミサイルは兵糧攻めに有効か【小松泰信・地方の眼力】2025年9月3日
-
「コウノトリ育むお米」4万4000円 JAたじまが概算金 「消費者も付加価値を理解」2025年9月3日
-
【人事異動】農水省(9月2日付)2025年9月3日
-
8月大雨被害に営農支援策 農機修繕、再取得など補助2025年9月3日
-
緑茶輸出 前年比9割増 7月の農産物輸出実績2025年9月3日
-
JA貯金残高 107兆337億円 7月末 農林中金2025年9月3日
-
よりよい営農活動へ 本格化するグリーンメニューの実践 全農【環境調和型農業普及研究会】2025年9月3日
-
フルーツプレゼント第3弾は新潟県産日本ナシ 応募は9月23日まで にいがた園芸農産物宣伝会2025年9月3日
-
9月9日を「キュウリの日」に 行政と連携して"キュウリ教室"初開催 JA晴れの国岡山と久米南町2025年9月3日
-
大学協同組合講座設置促進シンポジウム 9月16日にオンラインで開催 JCA2025年9月3日
-
脱炭素と環境再生へ 農林中金のコンソーシアムが本格始動2025年9月3日
-
『農地六法 令和7年版』発売 農地法関連政省令・通知を完全収録2025年9月3日
-
「アウト オブ キッザニア in えひめ」で「だしの伝道師」担当 マルトモ2025年9月3日
-
大阪・関西万博で「EARTH MART DAY」開催へ 食と農の未来を考えるイベント クボタ2025年9月3日