JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(6)【今さら聞けない営農情報】第236回2024年2月10日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋を提示するために必要なため、土壌診断の基礎知識をご紹介しています。
前回、pHをより理解するための一助として土壌の種類についてご紹介しました。今回からpHの矯正についてご紹介する予定でしたが、土壌診断項目の矯正の際にはpH以外の項目も考慮しなければならないことも多くあります。そのことの理解のため、まずは各分析項目を調べる意義について一通りご紹介し、その後にそれぞれの矯正法についてご紹介します。
今回ご紹介する分析項目はECです。
ECとはElectric Conductivityの頭文字をとったもので、電気伝導度といいます。単位はS/m(ジーメンス毎メートル)ですが、土壌診断ではより小さな単位mS/m(ミリジーメンス)などが使われ、この数値が高いほど土壌中の肥料分が多く含まれていることを示します。前回ご紹介したように、植物はイオン化した成分しか吸収できませんので、作物が栄養として利用するには肥料成分がイオン化している必要があります。肥料成分の多くは、一般的に酸とアルカリが結合した化合物である塩類の形で施用され、土壌中の水分でイオン化して植物に利用されます。イオンというものは電荷を持った分子であるため電気を通す性質を持っており、土壌の電気を通す力(電気伝導度)を測れば、その土壌中にどれくらい電気を通すイオンが存在するかを測ることができます。つまり、電気伝導度が大きければ大きいほど、土壌中にはイオン化した肥料成分が多く含まれていることになります。例えば、窒素質肥料として有名な硫安(硫酸アンモニウム:(NH4)2SO4)は、土壌中でイオン化してNH4+とSO42-という2種のイオン分子に分かれ、植物はNH4+を根から吸収して窒素分として利用します。このように植物が吸収できる肥料成分のイオン分子がどのくらい存在するかをEC(電気伝導度)の計測で把握することができ、それによって土壌中の肥料養分濃度を知る指標とすることができるのです。
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