JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(34)【今さら聞けない営農情報】第264回2024年9月7日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介してきました。前回までに土壌診断に必要な基礎知識の紹介が済みましたので、今回からは処方箋作成の基礎知識を学んでいきたいと思います。
土壌中に残存する肥料成分は、圃場回りの環境条件やそれまでの施肥・作付け状況によって様々であり、圃場の土壌の状態に合わせた必要資材やその量、施用方法などを示すのが処方箋です。現在処方箋を決めていくプロセスをご紹介しており、今回は、前回紹介した①pH、②EC、③有効態リン酸、④交換性カリ、⑤遊離酸化鉄の続きです。
次も水稲に限ったことですが⑥有効態ケイ酸の量を確認します。ケイ酸は稲にとって茎数や1穂あたりの籾数、登熟歩合に影響を与える不可欠な肥料成分であり、不足すると収量・品質の低下や病害虫被害の増加が起こります。ケイ酸が不足する場合は、ケイ酸質肥料を必要量施用しますが副成分としてカルシウムやマグネシウムが含まれていますので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。次に⑦交換性苦土の量を確認します。交換性苦土が不足する場合は、石灰質肥料や苦土肥料を必要量施用しますが。副成分としてカルシウムが含まれていますので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。
次に⑧交換性石灰の量を確認します。交換性石灰が不足する場合は、石灰質肥料を必要量施用しますが。副成分としてマグネシウムが含まれていますので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。次に⑨微量要素の量を確認します。作物によっては必要とする収量・品質を向上させるために微量要素が必要な場合があります。もし不足するようであれば、微量要素を補うことができる資材を必要量施用します。この場合も、副成分に含まれる肥料要素を確認し、過剰にならないよう注意します。最後に⑩pHの調整を検討します。これは、土づくりに使用する肥料にはアルカリ分を含んだものが多く、選んだ資材によっては過度にアルカリに偏る場合があるからです。このような場合には、使用する資材をアルカリ分の少ない資材に変更したりして調整します。
(つづく)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































