JAの活動:プレミアムトーク・人生一路
「良き仲間」恵まれ感謝 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
元島根県農協中央会会長で県統一JAしまねの初代組合長などを歴任した萬代宣雄氏。農協は「組合員と共に」が重要と話し、状況が厳しいほど組合員に説明責任を果たし、苦楽を共にする必要があると唱える。新地平を開拓し、今日に至った足跡を聞いた。聞き手は文芸アナリストの大金義昭氏。

元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏
■神話のふるさと、島根県出雲市のお生まれです。
1942年3月に出雲平野のど真ん中、矢野町の農家の長男に生まれました。83歳になります。矢野町は米どころで、田んぼ1・1町歩(1・1ha)、畑が1反歩(10a)まではなかったけれど、米作りを中心に父親の代までは養蚕をしていました。私は分家の3代目です。祖父は体が小さかったけれど、力持ちで世話好きだった。傷痍軍人の父親は養生しながら農作業を手伝っていました。近所に「敵機」が墜落し、憲兵が庭先まで駆けつけた幼い頃の記憶があります。
祖父に似て体は小さいが、子どもの頃はガキ大将、いや"少将"くらいかな!(笑)。気が強く、隣村の連中とよく喧嘩をしたものです!(笑)。勉強は算数、特に算盤が好きだった。
昭和33(1958)年春。中学卒業時
■中学校を卒業して就農します。
その前に、1年半ほど衣料品卸会社に勤めています。営業だった。ところが、食べていた餅を喉に詰まらせて祖父が急死し、父親が病弱だったこともあって就農しました。19歳の時に、中学の同級生の実兄で近所に住む吾郷征三さんと浜村茂則さんの3人で養豚の共同経営に挑みます。農業の近代化を唱える「農基法」がスタートした1961年でした。食生活が向上し、肉食が進むことを見越して「7桁農業」を目ざし、名づけた「三葉養豚」は多頭化時代の先取りをして成功しました。
お互いに「寛容」でないと、「時間に誰も来ない!」とか不満や不信が募って共同経営はうまくいかない。吾郷さんは"親分肌"で特に「寛容」でした。デンマーク式の豚舎も吾郷さんの土地に建てさせてもらったけれど、お父さんから「何かあったら石ころ一つ残さず、元の畑に戻さんといけんぞ!」と言われた。「叱咤(しった)激励」ですね。
餌の購入も販売先も金の貸し借りも、農協は私たちの味方になって奮闘してくれた。農協は地域農業のよりどころです!
■萬代さんの挑戦を、ご両親はどう見ていた?
吾郷さんや浜村さんよりも、自分の耕作面積が2反歩(20a)ほど少ないので、地域の田んぼが売りに出ると、負けず嫌いの私は何とか買おうとする!(笑)。ところが親父は「金利計算しても合わんぞ!」と反対する! 体が弱かったこともあり、石橋をたたいても渡らない。「私はアクセル! 父はブレーキ!」(笑)。これが結果的には良かった! 父親に反対されると思うと、立ち止まる慎重さが生まれましたから。二人の間を取り持ったのが母親でした。
■目に浮かぶようです!
54歳で亡くなった母には苦労をかけた。その頃、近所に「四方」(倒産)した家があったので「安易な借金はいかん! 保証人もなってはならん」と父は言っていた。その点、叔父(母の弟)が理解者で、いざという時に田んぼを担保に出すなどして助けてくれました。
■桜の名所として知られる「一の谷公園」の"約束"も有名です!(笑)。評伝『JA突破力の男』(新世紀JA研究会)の冒頭などにもある。
吾郷征三さんと親交があった元刑事さんで、受刑者の社会復帰を支援していた前島彰さんという人がおられた。私たちは農業をしながら「地域を何とかしよう」と農協運動に力を注いでいた。そんな時に前島さんを交え、出雲市内を眺望する「一の谷公園」で夕涼みをしながら将来の話をした。前島さんは「頑張ればいずれはあんたらが出雲市を動かす時代がくるよ」と励ましてくれた。その言葉を胸に、毎晩飲みながら口角泡を飛ばす仲間たちとの関係が深まったということです!(笑)
■桂子さんとは恋愛結婚(1966年)と聞きました。
米農家の娘で、青年団活動がきっかけでした。(笑)
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