JAの活動:日本農業の未来を創る元気な生産者
【特集・日本農業の未来を創る元気な生産者】 第4回 現地レポート 北海道・Blue Seeds2013年1月16日
・遺伝資源調査を依頼される
・「まさかり岩男」プリンが評判
・積極的な挑戦に高い評価が
元気な農業者を紹介する現地レポート。第4回は北海道の士別市内で若手農業者が「士別に新しい特産品を産み出そう!」と集まり結成された若手農業者集団「Blue Seeds(ブルーシーズ)」を紹介する。(この特集は全5回で掲載します)
種子から生産・加工・販売まで
農業の基本を学ぶ
◆遺伝資源調査を依頼される
曽我さんのことを話していたら、曽我さんの経営規模や販売方法などについて次々と質問をしてきたのが、「Blue Seeds」(BS)のメンバーの一人でミディトマトを生産してい谷寿彰さんだ。谷さんの隣に座っている沼館圭一さんは、金筋トマトの販売方法に興味があるようで、谷さんと一緒にいろいろ聞いてくる。
BSは01年(平成13年)に「地域の特産品を作ろう」という主旨で士別市内の若手農業者が集まり結成されたということだが、その経過をきちんと記憶しているメンバーはいない。
上川農業改良センター士別支所が毎年市内の若手農業者を集めて開催しているセミナーの参加者たちが、このまま別れるのは惜しいので、セミナー終了後も「集まって何かしよう」ということが始まりだったようだ。
そして03年に地域特産物としてブルーベリーを導入し、翌年に直売所やお菓子屋さんを中心に販売するが、収穫に予想以上の手間がかかることから、現在でもブルーベリーを生産・販売しているメンバーはいるが、BSとしての生産・販売には歯止めがかかる。
そんななか、05年に北海道中央農業試験所から、かつては北海道開拓に携わった人たちの貴重な食料として「命を支えた」が、いまでは栽培されなくなった「まさかりかぼちゃ」の遺伝資源調査をして欲しいという試験依頼を受ける。
(イラスト)
「ブルーシーズ」のメンバーとイメージキャラクターのまさかり岩男
◆「まさかり岩男」プリンが評判
まさかりかぼちゃの希少性とブルベリーよりも省力だということと、今後の特産化に期待を込めて試験を引き受けることにした。
中央農試から提供された3種の親系統種子の交配試験と採種を行いその中でも「もっとも食味がよかった」系統を08年にオリジナルブランド「まさかり岩男」と命名。商品化に向けて7名で250株の栽培を始める。
まさかりかぼちゃは、食味はきめ細かい舌触りと栗のような深いコクがあるが、皮が「まさかりで割らなければいけない」と評されるように硬いため、そのままでは販売しにくい。しかし、「ペーストにすると最高」という評価を洋菓子関係者から受け、ペースト状に加工して販売することにし、札幌などの野菜スイーツを扱う菓子店に飛び込みで営業する。そのうちの1社から「全量をまさかり岩男に変えたいというオファー」を受ける。
その菓子店では09年1月から「まさかり岩男」のペーストを使ったプリンを販売し大人気となり、地元テレビでも紹介される。
その一方で、「まさかり岩男」の認知度を高めるために、オリジナルキャラクターやオリジナルロゴを作成し、BSのホームページも立ち上げ、さらに、各種イベントにも積極的に参加するなどの販売促進活動にも力を入れる。
その後、11年8月に全国紙でも紹介され、かつて北海道に住んでいた人たちから「なつかしい味」として生果の注文がホームページに寄せられたり、士別市内の給食センターで食材として採用され「特産品」としてのスタートを切る。
◆積極的な挑戦に高い評価が
BSの活動は、地元の士別青年会議所が創立55周年を記念して、士別市内で積極果敢に行動し挑戦している若い人を讃えるために創設した「士別志民栄誉賞」第1号と表彰されたり、全道青年農業者会議でなどで優秀な活動として表彰されるなど、社会的にも大きな評価を得ている。
取材当日の月例会では、3月の総会でも議論したい今後の課題として、この間に学んできた「交配技術」を他の野菜でも生かしていくことも含めて「種苗法」の学習などをしてはという提案が谷さんからあった。
また、交配など技術的な部分を主として担当してきた沼館さんは、今後の方向性を考えるために、できれば東京などの大消費地に行きスーパーなどで、農産物がどのような販売をされているのかを見てみたいという提案もされていた。
佐藤さんは3月の総会で2年間の代表任期を終了し新代表にバトンタッチするが「新会長のもとで、これまでの活動を1回まとめ、次のステップへ進む時期にきている」のではないかと語ってくれた。
重要な記事
最新の記事
-
ローマのストリートフード・フェス【イタリア通信】2025年5月17日
-
【注意報】オオタバコガ府内全域で多発のおそれ 大阪府2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】組合員・地域住民の「日常に安心」を JA兵庫六甲2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】アグリスウェイの浸透と定着求め JAあいち知多2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】対話で最適な安心提案 JAふくしま未来2025年5月16日
-
農業予算の増額 日米協議「毅然と対応を」 農相に要請 JAグループトップ2025年5月16日
-
備蓄米 全農8万2300t出荷済 前週比1万9000t増 1日4000t配送も2025年5月16日
-
次の世代に繋げられる農業界を創造する JA全青協新執行部が会見2025年5月16日
-
有機酒類や有機畜産物が輸出可能に EUとの有機同等性の範囲が拡大 農水省2025年5月16日
-
(435)くれぐれもご注意を【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月16日
-
「大阪産(もん)マルシェ Link to EXPO 2025」で環境にやさしい体験 大阪府、JA全農大阪2025年5月16日
-
データを端末に残しながら無意味化 全農が「ZENMU Virtual Drive」導入 ゼンムテック2025年5月16日
-
雹被害の梅農家を応援「和歌山の青梅 食べて応援企画」実施 JAタウン2025年5月16日
-
6月7、8日に「食育推進全国大会㏌TOKUSHIMA」開催 徳島県2025年5月16日
-
「カーボンニュートラル・ふくしまいわき森守プロジェクト」で連携協定締結 農林中金2025年5月16日
-
ホームページリニューアル クロップライフジャパン2025年5月16日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第109回2025年5月16日
-
鳥インフル 米ニュージャージー州全域からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年5月16日
-
タイミー 北海道小清水町と包括連携協定を締結 人手不足解消と経済活性化へ2025年5月16日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」福井県敦賀市で24日に開催2025年5月16日