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特集:【緊急特集・JA対話運動】

2019.03.11 
【緊急特集・JA対話運動】第1回(下)<比嘉政浩JA全中専務理事>組合員の「声」が将来を拓く-全組合員調査一覧へ

 協同組合の未来は組合員が決める。それには組合員の願いやニーズをつかむことが必要だ。一方、准組合員の利用規制問題など政府が進める農協改革について、JA全中の比嘉専務は「JAグループにとって有事」と強調する。こうしたなか、自己改革への取り組みについて「組合員に評価してもらう以外に将来展望は拓かれない」と今回の対話運動の意義を話す。

--全国のJAが取り組んでいる「JAの自己改革に関する組合員調査」と対話運動の目的を改めてお聞かせください。

 

比嘉政浩JA全中専務理事
 政府は農業者に対して繰り返しアンケートを実施してJAに対する評価を定め、これを起点に農協改革を進めようとしていますが、認定農業者など特定の層を重視した調査となっています。これに対し、JAグループは、自主・自立の協同組合として、全ての組合員の意思を自らの調査により把握し、政府・与党に対して、組合員の意思を尊重することを求めていく必要があります。
 また、農業生産の現場は、農業者の本格的な世代交代期を迎え、正・准組合員の多様化も進んでいます。今回の全組合員調査を組合員との対話強化の契機として位置づけ、組合員との一層の関係強化に取り組もうということです。

 

--第1次調査は4月までです。各地で取り組みが進んでいますが、改めてJA役職員にはどんな認識が必要でしょうか。

 

 准組合員も含め、全国で1000万人いる組合員のすべてを訪問するのは、相当に困難なことであると思います。農繁期は各地で異なりますし、また、兼業化が進みライフスタイルも多様化して、組合員の在宅率も低下していますから、JA役職員の方々には大変なご苦労をかけていると思います。それでもなぜ全組合員調査・対話運動に取り組むことが不可欠かといえば、大きく3つの理由がありますると考えています。
 1つめは、今回の政府が迫る農協改革はJAグループ全体にとって過去最大級の危機であるということ。我々は、この難局に直面し、かつてない規模で、組合員の声を結集していくことが必要です。
 2つめは、世論を形成するということです。
 政府は、世論に敏感であり、政策を打ち出すにあたっても、広く国民がどのように受け止めているかで政策を決定しているように見受けられます。我々JAグループは、正・准組合員合わせて約1000万人います。食料・農業・農村のためJAグループがどんな役割を発揮しているのか、その評価についての組合員からの声は、世論の一翼を担うことになります。政府には、そうした世論をふまえた政策判断が期待されます。
 3つめは、組合員自身に評価していただくこと、それ自体が、協同組合としての本来のあり方であり、本来の「自己改革」の実践そのものであることです。「自己改革」は、組合員のニーズを把握し、それに応えていくことにほかなりません。これまでの自己改革の成果を伝え、評価をいただく取り組みを通じて、今後も組合員の期待にこたえるJAグループでありたいということです。
 繰り返しますが、協同組合として今は「有事」であり、組合員に評価していただくこと以外に将来展望は拓かれません。組合員からの評価を具体的な形に「見える」化していくのが今回の全組合員調査、対話運動だということです。

 

--大きな問題である准組合員制度についてどう考えるべきですか。

 

 協同組合の組合員は事業を利用するために、出資もして組合員になっています。それにも関らず事業利用が制限されるというのはおかしな話で、諸外国にそんな法制はありません。
 それでも准組合員の利用制限をすべきだという主張があります。それはどのような主張かといえば、たとえば在日米国商工会議所の意見書です。そこでは「JAグループの金融事業は実質的に不特定多数に事業を行っている状況が長く続いている」と指摘し、員外利用と同じではないかと言っています。員外利用ならば利用制限があってしかるべしという趣旨です。
 それに対するJAグループの答えは、「准組合員は組合員です」「組合員の事業利用を制限することはおかしい」ということです。つまり我々はこれまで以上に、准組合員を組合員として明確に位置づけることが必要になっています。
 これまでもJAグループは准組合員を「地域農業振興の応援団」と位置づけ、メンバーシップ強化に努めてきましたが、これまで以上に積極的に働きかけ、情報提供、各種活動への参加、意思反映、運営参画の機会を設けていく必要があります。 農水省は、31年度中にはすべてのJAと行政庁との対話を個別に実施するとしています。各JAには、今回の全組合員調査を通じて、准組合員についてもニーズを把握し、それに応えていく姿勢はもちろんのこと、准組合員の位置づけ、意思反映、運営参画についての具体的な進め方を整理し、JAグループ自らが説明できるようにしておくことが必要です。

 

--組合員調査、対話運動に取り組んでいるJA職員からは、「JAに対する厳しい声もあるが、JA事業への期待も寄せられていること」、あるいは「組合員世帯の抱えているさまざまな問題についても率直に聞くことができた」といった声も聞かれ、今後はそうした声に応える「宿題返し」をしなければならないという意見も聞きました。

 

 まさにその通りだと思います。
 全組合員調査は、全国一律の調査設問で行うものであり、組合員からいただく評価に個々の具体性がありません。全組合員調査だけに終わらせず、これを契機に、組合員の具体的な声を聞く取り組み、対話を行っていただきたいと考えています。また、その対話で集まった組合員の声はJAでぜひ活かしていただき、JAグループ全体としても各JA、またJAグループ全体としても、組合員から出された意見を看過しないことが大事です。対応できること、対応が難しいことも含め、いただいた意見に対しフィードバックを行うなど、まさに「宿題返し」があっての対話だと思います。そこはJAで創意工夫のうえ取り組んでいただきたいと思います。
 今回の改正農協法の5年後見直し条項には、准組合員問題だけではなく、法全体の見直し条項もあります。その意味では、こうした対話運動を通じて得た組合員の声をもとに、JAグループの将来像を拓くための取り組みでもあるのです。
 今回の全組合員調査については、全国のJA職員の皆様による訪問活動の負担もさることながら、全国連にも相当規模の経費負担をいただいて実施しています。しかしながら、日本中のJAの全役職員が一丸となって、協同組合としての本質的な運動に取り組むことの意義は、JAグループの将来にとっても非常に大きいと思います。

 

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