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JAの活動:女性に見放されたJAに未来はない JA全国女性大会

中家全中会長、加藤全国女性協会長対談:女性の「つながる力」で 次世代に豊かな暮らしを2020年1月21日

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JAに頼りにされる女性組織へ
JA全中中家徹会長
JA全国女性協加藤和奈会長
司会・榊田みどり(農業ジャーナリスト)

 JA女性組織の食農教育活動や助け合い活動は次世代に手渡す持続的な農業や元気な地域づくりに欠かせない活動となっている。JA全国女性組織協議会は3か年計画で「食を守る」、「農業を支える」など5つの具体的な活動を改めて目標としたが、それは国連のSDGsそのものだ。同時に今後期待されるJAになるにはJAへの女性参画は欠かせない。女性に見放されたJAに未来はないをかねてから強調しているJA全中の中家徹会長と、JA全国女性組織協議会の加藤和奈会長が課題などを話し合った。司会は農業ジャーナリストの榊田みどり氏。

JA全中 中家徹会長 JA全国女性協 加藤和奈会長
 榊田 
JA女性組織はSDGsを活動目標に掲げています。JA全国女性協としてSDGsを取り上げた背景を聞かせていただけますか。

 加藤 2019年度からの3カ年計画「JA女性 地域で輝け50万パワー☆」では、重点項目として「食を守る☆」、「農業を支える☆」、「地域を担う☆」、「仲間をつくる☆」、「JA運営に参画する☆」を掲げていますが、これらはこれまでJA女性組織が取り組んできた活動ばかりであり、これを機に新たに取り入れたものはひとつとしてありません。
 ただ、これまで取り組んできた私たちJA女性組織の活動はSDGsそのものであり、その意味で今回の3カ年計画は、決して特別なものではなく、むしろ今まで取り組んできたことと何の変わりもない、ということを発信するものでもあります。

 榊田 今までの活動の価値をもう一度、見つめ直すということですね。

 加藤 そうです。私たちの1つ1つの活動が、実は国連が掲げている世界の課題解決につながる活動だったんだということを皆さんに知っていただくということでもあります。

 榊田 中家会長は、女性組織の活動にどう期待していますか。

 中家 JAグループのなかでは、女性組織がいち早くSDGsに関心を持ち取り組みを始めています。ただ、取り組む、というよりも加藤会長が言われたように、女性組織の活動自体がすでにSDGsに合致した内容ではないかと思っています。私の地元でも、たとえば緑のカーテン大作戦、マイバック持参運動といった多彩な活動をしていますが、それらは全部SDGsに関係します。

 ですから、SDGsを意識するというより、今の取り組みをより自分たちにとって魅力ある活動に深掘りして進めていただければいいのではないかと思っています。それが結果としてSDGsにつながっていく。こういうかたちが理想ではないかと思います。

 榊田 5つの活動のなかで、とくに重視したい活動はありますか。

 加藤 とくにここに重点というものはありません。それぞれの地域に合った活動が大事ですから、自分たちで考え、参画することによって地域で輝きましょうということです。

 榊田 一方でJA運営への参画については全国共通の課題ではないかと思います。農業、農村で女性の役割は大きいですし、この問題にはどう取り組みますか。

 加藤 女性がJA運営に参画していくには家族の応援がないと難しいということがまだあります。若い世代は家庭内での役割分担ができているところもありますが、まだ女性が外に出ることに前向きではない家族が少なくないという現実があります。

 ただ、基幹的農業従事者の約半分を女性が占めていることからもわかるように、女性が日本の農業を支えている事実がありますから、JAが女性の意見を経営に反映させていくのは当たり前のことだと思います。家庭のなかでは女性の発言力は強いのが一般的だと思いますから、それを外にも発信できるようになれば大きな力になると考えています。

 女性のJA運営参画をすすめていくためには、こうした家庭の意識改革、女性自らの意識改革とともに、JAの組合長をはじめとした経営層の意識改革も必要ではないかと思います。私たち女性組織のメンバーがJA運営について話合いがしたいと言ってもJA側に受け皿がないと進みません。

 榊田 中家会長はいかがでしょうか。

JA全中 中家徹会長 中家 女性に見捨てられたJAに未来はない、ということを私はずっと言い続けてきました。それは、JAの事業そのものが、ますます女性の視点、感性を必要とするようになってきているからです。食、教育、介護などいろいろな分野で女性の視点が求められています。より良い暮らしを営むうえで女性の感性は不可欠であり、JA運営へ女性に参画してもらうことは喫緊の課題です。

 また、SDGsの目標にも「ジェンダー平等を実現しよう」がありますが、国際団体の調査では日本はこの目標が最大の課題のひとつとして指摘されています。

 問題は女性が参画できる環境をどうつくるか、です。1つはいかに女性が活躍している場面を「見える化」するか。たとえば広報誌に女性部のページをつくり活動をどんどん発信したり、地方紙にも情報提供していくなどが考えられます。地域の方々からJA女性部はがんばっているな、と思われるような発信です。

 また、仕組みづくりも大切です。例えば女性理事の枠を作ったり、総代会の議長に選任するといったこともあります。

 これがJAとして取り組まなければならないことですが、もう一方の問題として女性が積極的に前に出てきているかということがあります。女性の登用に対して女性の側が尻込みするということもあります。そこは本人の意識改革も必要ですが、加藤会長も指摘するように家族の理解も必要だと思います。

 加藤 これまで、姑世代の先輩方は、私たちの世代に豊かな食を残していこうとがんばってくださいました。だからこそ、今度は私たちが次の世代にきちんと引き継いでいけるかが問われており、私たちの活動はそのために取り組んでいるということを家族には話しています。

 そんなふうに、家庭のなかでは少しずつ意識改革が進んできましたが、JAとなるとまだまだだと感じています。ただ、それでも女性参画についてJA経営層と話し合いの場をつくってもらえると、少しづつ女性参画の必要性がJAにも理解されてくると思っています。私たち女性も他人事にせず、自分たちのJAなんだから思いを伝えるということが大事だと思います。

 一方で、JAの資料は難解なものもあり、なかなか理解することが難しい場合も多いように思います。そういった場合は、わからないままにするのではなく、私たちからも分からないことは分からないと話してJAからきちんと説明を聞き、逆にJAの事業などについて噛み砕いて伝えられる存在になれば、家族や地域の人々にJAについての新しい気づきを生むことになると思います。

 中家 女性組織の役員など責任ある立場を経験した方からは、大変勉強になった、経験して良かったという声を聞いています。私は、役員などを経験することで密度の濃い人生を送ることができると言っています。それから女性はその立場になると大変な力を発揮しますね。役は人を作るといいますが、あの人があんなことを、という経験はずいぶんあります。子どもに自分のがんばっている姿を見せることにもなります。だから、とにかくやりましょう、と言いたいです。

 榊田 女性へのエールですね。


 中家 本当にそうです。大勢の女性が手を挙げるようになれば非常に心強いことです。


 榊田 さて、地域協同組合としてのJAの役割を考えると、昨年末の第2期地方創生総合戦略のなかでもJAが位置づけられるなど、その役割に期待が高まっています。既存の組合員や准組合員はもちろん、田園回帰の潮流が生まれているなかでUターン、Iターンの若者や農村とさまざまかたちで関わりを持つ「関係人口」などの受け皿としてJAが重要になるのではないかと思います。お二人はどう考えますか。


JA全国女性協 加藤和奈会長 加藤 JA女性組織の構成員の7割が非農家になっています。それもあって女性組織の活動は食農教育のような農業関係の取り組みだけでなく、ライフプラン研修や地域ボランティア活動など暮らし関係の取り組みもたくさんしています。そこには非農家の方々にもたくさん参加してもらっていますし、こうした活動を通じて、JAが果たしている役割などを非農家のみなさんに知っていただく活動も大事だと思います。

 JA女性組織はこうした生活全般に関わる活動に取り組んでいますから、さまざまな人々との接着剤的な役割が果たせるのではと考えています。たとえば地方にも増えている外国人旅行者に日本の食、土地の魅力を伝えたりなど関わりを持つこともできると思います。

 あるいは、とある地元直売所利用者のなかには、他県からわざわざ買い求めるために来たという人もいましたが、出荷している女性部員はとても喜び、そのことが地域農業振興の大きな力になっています。こうした普段から当たり前のように活動していることが、地域を支えることにつながっていけばいいと思っています。


 榊田 地域の活性化に向けて女性組織に何を期待しますか。


 中家 かつての農協婦人部は部員が300万人を超えていましたが、今は50万人になっています。JAにとって、組合員は最も重要な基盤です。

 その基盤の強さは量と質です。量とはいうまでもなく組合員の数であり、質は意識です。JAについて、おらがJAだ、という意識をどう持つかです。この量と質が高まれば大変に強い基盤ができます。

 今、女性部員も減ってきたわけですが、そうであれば幅広く多様な人を女性部員にしていくということが非常に大事になると思います。


 榊田 受け皿を広げていく、と。


 中家 そうです。まして人口減少社会ですから、Iターンで地域に来た人や、さらには「関係人口」と言われるような人たちも女性部の活動に賛同、そして参加してもらうということが、これから必要になるのではないかと思います。


 加藤 女性部員の減少の要因は農家が減っているということですが、一方、どの女性も家族を守りたい、暮らしを守りたいという思いは共通ですから、食と農をはじめとしてJA女性組織の多岐にわたる活動を伝えていき、一緒に地域を守る活動をしていけばJAについて理解してもらうことにもつながると思います。

 私はJAに頼りにされる女性組織になりたいと言っています。


 中家 JA自身ももっともっと開かれていかなければなりませんし、JAからも地域に発信することが大事な時代になってきたということだと思います。


 榊田 お話しをうかがって暮らしをテーマにしている女性組織はJAの枠を越えた地域とのつなぎ役として非常に大事だということが分かりました。ありがとうございました。


司会・榊田みどり(農業ジャーナリスト)【司会を終えて】
 国連が公表するジェンダー・ギャップ指数で、日本は昨年、153か国中121位と過去最低を更新。世界の潮流からますます取り残されていく印象は拭えない。

 農業界でも状況は変わらないが、対談でも指摘されたように、准組合員の大半が女性で、家庭で財布を握っているのも女性。産業政策にシフトした農政へのアンチテーゼとしても、地方創生総合戦略でJAが期待される地域協同組合としての存在感を示す上で、女性の「つながる力」や生活者としての感性は必須。いい加減、女性がもっと表に出ていい時期ではないかと改めて思った。
 (榊田)


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