JAの活動:年頭のあいさつ2021
【年頭あいさつ】「国消国産」の共有へ 中家徹氏(全国農業協同組合中央会代表理事会長)2021年1月2日

中家 徹 氏
全国農業協同組合中央会代表理事会長
新年にあたり、謹んでごあいさつを申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により影響を受けられている皆さま、また、全国各地で発生した災害などにより被害に遭われた全ての皆さまに、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念いたします。
さて、新型コロナウイルス感染症は、依然として予断を許さない状況が続いています。農業分野でも需要減退による価格低下が幅広い品目で発生し、今もその影響が残っているものもあります。大きな影響を受けている生産者の方々を支援するため、消費拡大対策などに取り組んでいますが、先が見通せないなか、当面は苦しい状況が続くものと想定されます。
一方、新型コロナウイルスは、社会に教訓も残したと考えています。その一つが、国民が必要とし消費する食料はできるだけその国で生産する「国消国産」の考え方です。コロナ禍でマスク不足は大きな問題となりましたが、もしこれが食料だったらどうなっていたでしょうか。実際に10以上の国が、食料の輸出規制に踏み切りました。工業製品と異なり、農畜産物はすぐに生産を拡大することができません。世界情勢が不安定さを増すなか、国際化がすすむわが国にとって「国消国産」の考え方は、食料を生産する側だけではなく、国民全体で認識共有することが不可欠です。
また、東京一極集中から田園回帰への潮流が生まれていることや、助け合いの精神が見直されていることなどの教訓もあります。昨年は従来以上に、国民の皆さまに日本の食や農業の現状を知っていただく機会となり、コロナ禍での苦境を多くの皆さまに応援いただきました。あらためて深く感謝申し上げます。これからも情報発信強化をすすめ、農業・農村を支えたいと思っていただける方を一人でも増やしていきたいと考えています。
こうしたなかで昨年は、食料・農業・農村基本計画が改定されました。特徴のひとつは「実践」を重視していることであり、この「実践」こそが、わが国の食料・農業・地域の行く末を左右することになります。食料安全保障の確立や農村実態に即した提言の策定などとともに、食や地域に携わる様々な関係団体・行政・事業者・消費者などとの連携強化をすすめ、「国消国産」ひいては「持続可能な食と地域づくり」を実現するため、JAグループは役割を発揮し続けていきます。
そして、この役割を果たすためには、JAグループ自身が持続可能な組織とならなければなりません。引き続き、協同組合運動の原点である「対話」をもとに不断の自己改革をすすめ、経営基盤の確立・強化に努めてまいります。
本年もJAグループならびに本会の事業運営にご理解とご協力を賜りますようお願いするとともに、皆さまの益々のご健勝をお祈り申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
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