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JAの活動:2021持続可能な社会を目指して 今こそ我らJAの出番

【特集:今こそ我らJAの出番】『蜂の蜜源』で農地再生――耕作放棄地のお花畑化プロジェクト推進協6年目2021年1月8日

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シンジェンタジャパン株式会社が山梨県で養蜂業を始めた。玉川大学や山梨県甲府市相川地区で野村養蜂場を営む養蜂家の野村洋平氏、雪印種苗株式会社と連携して、増え続ける耕作放棄地にミツバチの餌資源となる花を植え、農地の再生やミツバチの増殖などを目指す「耕作放棄地のお花畑化プロジェクト推進協議会」を2015年秋に設立。同推進協議会は玉川大学農学部の中村純教授が代表を務め、シンジェンタジャパンが運営事務局を担う。甲府市農業委員会の協力も得て活動を行っている。今年で発足6年目を迎える同プロジェクトのこれまでの取り組みと今後の活動を紹介する。

花粉送粉者(ポリネーター)であるミツバチ花粉送粉者(ポリネーター)であるミツバチ


蜂餌資源不足とお花畑の有用性

まず、ミツバチを取り巻く環境変化と「耕作放棄地のお花畑化プロジェクト」始動までの道のりをみてみよう。

近年欧州や米国でミツバチの減少が見られ、日本でも農作物の花粉交配用ミツバチの不足が問題となっている。原因は各国でさまざまであり、病気や農薬被害、ミツバチの質的劣化なども指摘される中、ミツバチの餌資源となる蜜源・花粉源植物の減少の影響が大きいことがわかってきた。

日本では、農林水産省の調査により、特に北海道などでの水稲栽培地でのミツバチの農薬被害が大きいとされてきた。ミツバチは花粉送粉者(ポリネーター)として農地で使われ、一方農家は農地での作物保護のために農薬を利用する。

当然、両者に接点があれば、特に殺虫剤は昆虫であるミツバチにとっては致命的である。ただ、通常、花期に使用できる農薬は少なく、花を訪れるミツバチが農薬被害に遭う可能性は低い。

玉川大学の中村教授は、ミツバチと農薬の接点は、農薬散布のない安全な餌資源が不足していることが背景にあるとして、安全な餌資源の植栽がミツバチの不必要な農地への飛来を減少させられるとの仮説を立てた。それに基づき、北海道でミツバチのお花畑への誘引による農薬暴露回避の実証試験を2015年から2016年にかけて実施した。

試験では耕作放棄地に花畑を作り、ミツバチが飛来している状況を確認した後にその花畑をすき込み、すき込む前の花畑と畦畔雑草への訪花状況を比べた。その結果、花畑がない状況下でも畦畔雑草への訪花が増加したことから、蜜資源の植栽が農薬との接点回避に有効であることがわかった。

お花畑化プロジェクト開始

一方、農薬事業と種苗事業を行うシンジェンタは、これらの事業と並行し持続可能な農業をリードすることを方針に掲げ、持続的な社会発展のための取り組みとして2013年から「Good Growth Plan(GGP)」を世界的に展開。六つのコミットメントの一つに農地の劣化を減らし、より豊かな生物多様性の促進として「全世界で農地500万haの生物多様性の領域確保」に取り組んでおり、この目標は2019年に達成している。

シンジェンタジャパンでは、この取り組みの日本版として生物多様性を促進する活動の中で「ポリネーターであるミツバチに対して何か取り組めないだろうか」と中村教授に相談していた。

その頃、中村教授の教え子で祖父が養蜂家だった野村氏が養蜂家として独立したいと相談に訪れたことをきっかけに甲府市相川地区を視察。野村氏の暮らす相川地区は、甲府市内でも山付き傾斜地が多く農地の耕作放棄地化が進む地域だった。

中村教授は、北海道で実施した農地の花畑化によるミツバチの餌資源の確保に加え、主要な送粉者である野生ハナバチ類や飼養昆虫のセイヨウミツバチを増やすことで、園芸の生産性や生産量の増加につなげることなどを目的に、耕作放棄地を花畑に再生する取り組みを考え、シンジェンタジャパンを事務局として「耕作放棄地のお花畑化プロジェクト推進協議会」を発足させた。

そして雪印種苗は、土にすき込んで肥やしになるヘアリーベッチなどの緑肥作物を取り扱う中で、それら植物の養蜂に対する価値を聞くために中村教授のもとを訪れたことをきっかけに同推進協議会に加わり、耕作放棄地に植える植物の栽培に関するアドバイスなどを行っている。

耕作放棄地をお花畑にーミツバチ餌資源の再生と地域農業への貢献を両立耕作放棄地をお花畑にーミツバチ餌資源の再生と地域農業への貢献を両立

住民の関心高く拡大する面積

農家の高齢化や後継者不足から耕作放棄地は年々増加し、日本の農業の最重要課題の一つに挙げられる。管理されなくなった農地が増えることで、農業生産の減少だけでなく、周辺地域の生活環境に様々な悪影響を与えている。

同推進協議会では、(1)増え続ける耕作放棄地にミツバチの栄養となる花を植えることで、耕作放棄地問題の解消、農地としての再生になる、(2)果樹王国と呼ばれる山梨県だが、サクランボやイチゴなどの花粉交配ミツバチはほぼ県外から導入されてきた。自県でミツバチを生産し、出荷することができれば、天候などにより大手供給業者からミツバチが手に入りにくくなり、山梨県の割り当てが少なくなった場合でも、地元のミツバチを使えるセイフティーネットの構築にもつながる、(3)ミツバチが農薬被害を回避できる退避場所の確保にもつながる――と考え、プロジェクトをスタートした。

2015年に武田神社北側エリアの約1haの耕作放棄地を甲府市農業委員および地域の農業委員、農地銀行推進委員会などの協力を得て貸与されプロジェクトはスタート。山梨県は耕作放棄地率が全国で最も高く、特に甲府市は耕作放棄地が多かったことから、プロジェクトに対する市や住民の関心も高く、2020年には同地区内の2.5haまで農地を拡大している。
昨年の秋まきでの実施面積は約1haで、今年2月下旬から3月上旬にかけて、秋まきと同じクリムソンクローバーとハゼリソウをさらに約1haの耕作放棄地にまく予定。ただ、耕作放棄地はもともと機械が入らないところもあり、花畑化で借りている農地のうち実際に作業を行っている土地は約2haとなっている。

さらに毎年夏は1haのほ場でヒマワリを栽培。雪印種苗の「サンマリノ」をは種していたが、昨年はシンジェンタジャパンの「サンフィニティ」を試験的に植え、この2種類のヒマワリの開花期間や花蜜の分泌量、花粉量など、ミツバチの採餌行動に与える影響などの調査も行った。

ミツバチ出荷数年々確実に増加

野村氏は現状の成果として、「最初は何もわからない状態でスタートして開始から5年経過したが、2018年ころから山梨県南アルプス市にサクランボの花粉交配用ミツバチの出荷を始め、出荷実績は増加している」と話す。

2019年の交配用ミツバチの出荷実績は前年より86群多い147群に増加し、内訳は桃(ハウス)1群、サクランボ(露地)は南アルプス市に113群、イチゴは甲府市が主で数群、山梨市、中央市、笛吹市に延べ43群出荷している。2020年もほぼ同様の出荷数となる見込みだ。

プロジェクトとしての当初の目標であった花粉交配ミツバチの出荷の実績は確実に増えてきている。

左から、シンジェンタジャパンの吉田浩之技術企画渉外部部長、プロジェクトの代表を務める玉川大学農学部先端食農学科の中村純教授、雪印種苗の和田美由紀研究開発本部植物機能性研究Ⅱグループ主任、養蜂家の野村洋平氏、シンジェンタジャパンの及川真技術企画渉外部スペシャリスト左から、シンジェンタジャパンの吉田浩之技術企画渉外部部長、プロジェクトの代表を務める玉川大学農学部先端食農学科の中村純教授、
雪印種苗の和田美由紀研究開発本部植物機能性研究Ⅱグループ主任、養蜂家の野村洋平氏、シンジェンタジャパンの及川真技術企画渉外部スペシャリスト

耕作放棄地活用で地域農業に貢献

今後も「農地の再生」「生態系の保全」「景観の美化」「生物多様性の促進」「蜜源植物の増殖」「養蜂および農業の振興」の六つをプロジェクトの目標に掲げ活動を推進する中で、プロジェクトのメンバーがこの活動の賛同者を増やし、日本のほかの地域でも同様のプロジェクトが展開できるつなぎ役を目指す。

その中で代表を務める中村教授は、「ミツバチは昆虫の中では珍しく1年中活動している生き物で、いつでも花がなければ生きていけない。ミツバチの体力を支える餌資源を耕作放棄地で栽培することで、ミツバチの増殖が期待でき、果樹や果菜類に必要な送粉者として地域の園芸農業に貢献できる」と今後の活動に期待を込めた。

農産官学で耕作放棄地をお花畑に農産官学で耕作放棄地をお花畑に

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