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混迷大統領選と日米 甘くない民主党バイデン――強まる対日圧力に警戒【検証:菅政権4】2020年11月11日

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農政ジャーナリスト・伊本克宜

最終結果は先になるだろうが、米大統領選は民主党バイデン氏の勝利が確実となった。いわゆる政権交代だ。トランプ「自国第一」からバイデン「融和と団結」へ。単純にはこんな図式だが、こう思うのはよほどの政治素人だろう。そう簡単ではない。むしろ米国内の亀裂は深まったと見ていい。さてわが菅政権にとってバイデン民主党はどうか。一言で言えばトランプよりもやっかいとなる。年明け以降、市場開放をはじめ対日圧力は強まると警戒すべきだ。(敬称略)

発言する菅総理発言する菅総理 (首相官邸HPより)

本当の勝者はコロナ

大半の人が大統領選でバイデン勝利を予想していたはずだ。いくらなんでも無理筋の言動を繰り返すトランプの再選は無理だろうと。ただ、あらためて思い知ったのは国民の声を反映し代表者を選ぶ民主主義の難しさだ。結果的に、大統領、上院、下院全てを覆うブルーウェーブ(青い波)は起きなかった。
自国第一か国際協調か、経済か環境か、白人優先か多様性重視か、自助努力か政府支援か。国論を二分する事態の中では賛否ほぼ拮抗した。結果的にバイデン薄氷の勝利だったのではないか。トランプは胸中で「本当は俺が勝ったはず。コロナに負けたにすぎない」と繰り返しているだろう。歴史に〈イフ〉はないが、もしコロナ発生があと10か月遅れていたら結果は全く異なっていたかもしれない。
トランプは、自身が感染し完治し再び立ち上がり大統領選を戦い抜いた。選挙最終盤に激戦州を掛け持ちする姿は人間業ではない。こんな大統領は過去一人もいなかった。執念の一言ではかたづけられない権力への固執は、トランプ票を底上げし、数日間もバイデンが勝利宣言するのをためらわせた。米国の地図上に勝敗を分ける青(民主党)と赤(共和党)の分布を見ると、多くの人が愕然とするはずだ。東西の海岸部、シリコンバレーなど新興産業が発展し、名門大学があり高所得、高学歴の人々が住む地区はブルー一色。黒人、ヒスパニックなども民主党支持が多い。半面で米国の中心部ともいえる中西部などは赤い共和党色に染まる。農業地帯やさびれた産業のラストベルト地帯も多い。この二分された米国の修復は容易ではない。バイデンの言う「ノーサイド。国民は団結しよう」の掛け声に耳を貸さない人々も数多い。
トランプはよく右派ポピュリズムと称される。ただこの指摘が適切なのかいつも疑問に思ってきた。日本では、ポピュリズムを蔑視も込め〈大衆迎合主義〉と訳すことが多い。しかし、そもそも一般大衆の要望に応じることが政治の第一歩ではないか。有権者の声を軽視し天下、国家を述べても机上の空論にすぎない。ようは地元の要望をくみ上げながら、政策としてどう整合性を取っていくのか。それが政治というものだろう。以前、この疑問を社会思想史、経済思想史を研究する京都大学の柴山桂太准教授にぶつけた。すると「そうですね。大衆迎合主義は適切ではない。人民主義とか訳すべきかもしれません」と応じた。トランプ=右派大衆迎合主義との一面的な理解が、「隠れトランプ」を読めず、今回の大統領選の大接戦の実相を見落とした。

いち早く祝意

菅がツィッターでバイデンに祝意を送ったのは、民主党勝利が確実となった8日。「日米同盟をさらに強固なものにするために共に取り組んでいくことを楽しみにしている」と。バイデン勝利を菅政権はどう見ているのか。果たして人脈はあるのか。さて困ったというのが本音だろう。
歴史的には、米国が民主党政権の時に両国関係は通商問題で緊張関係が強まる。そんな懸念も募る。
対米関係がどうなるかは菅政権の命運とも一蓮托生の関係だ。日米関係がぎくしゃくすれば、政治、経済全体に悪影響を及ぼす。日本は日米中の太平洋を挟むトライアングル関係の中でどう比重を置くかが問われる。それによって、この三角形の形はいかようにでも変容する。
アジア回帰で均等な二等辺三角形論を密かに考えた民主党・鳩山政権は米国の厳しい警告に遭った。例えば東アジア地域経済連携協定であるRCEPの扱い。ここには米国は参加していない。東南アジア10か国で構成するASEANをベースに、日中韓の東アジア3経済大国にオセアニア。さらにはインドが加わる。経済規模と共に中印がメンバーとなることで巨大人口圏の経済自由化が可能となる。インドの参加は日本が働きかけた。中国の独走を牽制するためだ。だが、米国はこうした動きを歓迎していない。自国が主軸となる通商協定を最重視する。そこで4年前のオバマ民主党政権は、ある意味で中国包囲網ともなる環太平洋をぐるっと囲んだTPPを進めた。トランプで反故にしたが、オバマの下で副大統領を務めたバイデンはTPP復帰へどうするのか注目したい。

誰が国務長官と通商代表か

バイデン政権で閣僚がどうなるかは重要だ。特に外相にあたる国務長官と、通商交渉を担当するUSTR(米通商代表部)代表がどうなるのか。トランプ政権のライトハイザーUSTR代表は、かつての日米経済摩擦激化の時の鉄鋼輸入制限交渉などでタフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)としてならした。日米交渉でも強硬姿勢を懸念する声があったが、結果は何とかTPP11の合意内容の範囲内に収まった。特に日本政府が憂慮したコメについては一定の配慮がなされた。ライトハイザーは最後まで乳製品の一層の市場開放にこだわったが、最終的にはトランプの判断で見送った。トランプ政権での通商交渉は、対中攻撃に全力を挙げ、他の交渉にまでそれほど手が回らなかったという側面も強い。

混乱の間隙縫う中国

大統領選の混乱をほくそ笑んでいるのは、もう一つの経済大国・中国の習近平主席だろう。トランプ時代に標的にされ振り回されてきた中国は、既に様々な角度で対米戦略を練っている。どう出るか予測不能なトランプよりも、専門家チームの助言に基づき手を打つバイデンの方が組みやすいと思っている節がある。米国の混乱に乗じ、一層の中国の影響力拡大を図ろうとするに違いない。
一方で、トランプかバイデンかどちらでも米中対立は続くとみて、10月下旬の中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、習は今後の経済政策を〈双循環〉なる言葉で説いた。内外2つの経済循環、つまりはこれまでの輸出一辺倒から14億人の人口を生かした内需拡大で、米中対立の長期戦に備えようという構えだ。
中国が警戒するのは、バイデンの人権重視の姿勢だ。香港問題に典型なように、中国は一党独裁に反対する勢力は一掃する。
一方でバイデンは自由選挙と言った民主主義、人権を重視する。トランプは経済しか興味がなかっただけに、大豆の輸入拡大など数字でごまかせた。しかし、バイデンはそうはいかず、中国にとってやっかいなことになる。
当面は気候変動対応など米中が協力してやるべきことを前面に出し、表面的な協調姿勢で取り繕うだろう。だが米国の対中貿易赤字は膨らんでおり、水面下では激しい経済紛争が続くはずだ。

日米中トライアングル

こんな中で菅政権は難しい判断が迫られる。日米中の政治的な三角形、トライアングルをどんな形にするのか。
年明け1月20日にはバイデンの大統領就任式がある。当日、彼は気象変動に対応するパリ協定復帰を宣言する。4年前にトランプがTPP離脱を表明したように、独自カラーを出す。日本は前後して通常国会を開く。世界中の要人が集まり、直近の地球的課題で意見を交わすスイスのダボス会議もある。習の訪日の日程をどうするのかも詰めねばなるまい。
菅政権は日米同盟を中枢に据える一方で、中国とも経済関係を強める立場だ。来年は7月に東京五輪、その半年後、2022年2月には北京冬季五輪、同じ22年11月には米下院選挙と、国際的な重要日程が続く。こうした中で、年明けにコロナがどうなっているのか。有効ワクチンができ収束に向かうのか。それともインフルエンザと合わせ再び猛威を振るうのか。それによっては、二つの五輪開催も左右されざるを得ない。

米民主党政権へのトラウマ

バイデンの言う「協調と団結」が現実のものになれば結構なことだ。だが、冒頭でも指摘したように、米国内の亀裂はさらに深まりトランプ現象とされる「自国第一主義」は世界を覆う。まずは、国連を軸にした気候変動対応や世界貿易機構(WTO)の新事務局長を迅速に選任し再び貿易ルールを作り直さねばなるまい。2国間を中心とした自由貿易協定(FTA)が大手を振っている現状はやはり是正すべきだ。
TPPが次期通商交渉の基準となるとの指摘もあるが、原則関税ゼロは「異常な協定」と言わざるを得ない。再考が欠かせない。
さて新大統領は今後どういう出方をするのか。対日関係はどうなるのか。
経験則で言うと、民主党政権の時に、日米関係は波立ち、特に経済摩擦が激しくなる。特に注意したいのはコメ問題だ。主産地カリフォルニア州は選挙人55と米国最大で、かつ民主党の牙城である。日米通商交渉には、民主党の地盤の要求が強まることは間違いない。支持母体に労組も多く名を連ね、自動車産業の声を代弁した政治対応もあるはずだ。駐日大使をどういったレベルの人材を充てるのかも注視したい。

ジョーおじさん

バイデンは人柄の良さからアンクル・ジョーと呼ばれる。「ジョーおじさん」は間もなく78歳と最高齢の米大統領が誕生する。あの温厚な笑顔の裏には何が隠されているのか見極める必要がある。上院議員を長年務め、オバマの下で8年間も副大統領をこなした。したたかな政治のプロだ。同盟関係を重視ながらも、やはり米国の利害を第一義的に思い行動するに違いない。つまりは「バイデンは甘くない」と見ていい。
最後にホッとする話題を。日本にも「ジョー・バイデン」と話題の熊本・山都町の梅田穣町長。〈穣 梅田〉が音読みで〈ジョー・バイデン〉となる。団塊世代で、地元は先の熊本地震で震災に見舞われた。JAかみましき組合長、6年前にはJA熊本中央会会長も務めた元農協マン。単協時代も含め何度か取材したが、気さくで明るい方である。くまモンも加勢し、バイデン大統領誕生にあやかり町おこしに生かせないかなどとも考えてしまう。

(「検証・菅政権」5は「スガ案件と予算」)


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