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【クローズアップ:Jミルク3カ年計画】家族酪農基本に10年展望 環境配慮へ専門チーム始動2021年3月9日

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Jミルクは2021年度からの3カ年計画を決めた。2030年度の長期戦略ビジョン「提言」を踏まえた初の3カ年計画だ。家族酪農を柱とした後継者確保などを前面に出した。4月からは、脱炭素社会実現へ環境配慮型酪農を目指すWTも始動する。

基本は業界〈運命共同体〉

Jミルクは、酪農団体、牛乳販売業者、乳業メーカーの、いわゆるミルク・サプライチェーンの生処販で構成する品目別では初の組織だ。それだけ、酪農乳業界は生産から処理加工、消費者に届く末端小売りまで〈運命共同体〉の性格が強いことを裏付ける。

今回の3カ年計画(21~23年度)は第4期となるが、これまでとは性格が違う。5年に一度の国の食料・農業・農村基本計画の見直しに合わせた新たな酪農肉用牛近代化基本方針(新酪肉近)を踏まえ、2019年10月にJミルクの2030年度ビジョンの「提言」と、具体的な29の行動計画の実現を盛り込んだ。

◎持続可能な国内酪農乳業への4重点事項
・酪農生産基盤の強化
・生乳需給・流通の安定
・国産牛乳乳製品の需要基盤の確立
・酪農乳業の多面的価値見える化

生産基盤は一丁目一番地

「提言」に沿った上記の4重点事項の最初に生産基盤の強化を掲げた。酪農家の戸数減が進み、生乳生産を確保できなければ、乳業メーカーも事業が成り立たない。そこで、酪農生産基盤の維持・拡充は業界全体の最重要課題となっている。

特に問題は、地域間の不均衡の是正だ。北海道は大型化が進む一方で、都府県は基盤弱体化が目立つ。国の支援措置もあり、都府県酪農も縮小にも歯止めがかかりつつある。この傾向を定着させることへの努力が欠かせない。北海道は生乳全体の6割に近づきつつあるが、道内から首都圏、関西圏などに生乳移出する数量は夏場に月6万トン以上と限界目前だ。やはり大消費地を抱える都府県での一定数量の生乳生産確保が必要だ。

ここでのポイントは、大半を占める家族酪農の安定を基本に、規模や形態などさまざまなタイプの酪農経営がその特徴を発揮できる持続可能な生産を明記していることだ。国内酪農は、家族経営と年間生乳生産量1000トン以上のメガファームに〈二極化〉しつつある。だが、大型経営に偏ることなく、国内の酪農家全体で生産を底支えしていく仕組みを重視した。酪農の持つ地域での社会的貢献度を視野に置いているためだ。

支援事業は〈牛〉から〈人〉へ

会見でJミルクの川村和夫会長(明治HD社長)は生産基盤強化へ「これまでの牛増頭支援から担い手確保重視を明確にした」と強調した。乳業自ら財源を拠出する基盤強化総合支援事業は、これまでの3カ年事業を拡充し新たに20年度から5カ年事業として中期的視点で特に都府県家族酪農の担い手確保を掲げた。

「提言」では10年後の生乳生産を全国775万トンから最大800万トンに据えた。これを受け新酪肉近の2030年度長期生産目標も780万トンにした経過がある。現行730万トンから50万トン増産を目指す。これを達成するには、北海道が約450万トン、都府県も330万トン超の生産確保が欠かせない。問題は生産基盤の弱体化が目立つ都府県の生産の行方だ。その柱の家族酪農が一定の後継者を確保し増産に転じなければ、意欲的な増産計画は「机上の空論」になりかねない。運命共同体の国内酪農乳業にとって、都府県酪農=家族経営振興は最重要テーマだ。

脱炭素へ国内外にらむ

4月からは、戦略ビジョン推進特別委員会の下につくった酪農乳業SDGsワーキングチーム(WT)本格始動する。4重点の一つ、持続可能性の対応だ。

気候変動での脱炭素、環境負荷軽減とも密接に絡む。酪農はCO2排出で、メタンガスや牛のげっぷ対策などの対応が求められる。SDGs関連では、動物福祉での多頭飼い是正も問われる。農法や飼育法もこれまでの輸入飼料依存から脱皮し、放牧、資源循環型酪農、自給飼料率の向上なども急がねばならない。

農水省が検討を進める「みどりの食料システム戦略」も念頭に、WTでは年内に酪農乳業のSDGsの基本的考え方も整理していく方針だ。また、今秋9月にニューヨークで開催予定の国連の食料システムサミットでの酪農乳業の食料供給や環境負荷軽減での対応も検討していく。

いずれにしても、国内酪農は、短期的にはコロナ禍での生乳需給急変、長期的には国産牛乳乳製品の需要増大から増産が求められ、難しい舵取りが迫られている。これに環境問題が加わる。ただ、Jミルクでは「脱炭素、緩急負荷軽減は今後の持続可能な酪農乳業には避けて通れない重要課題だ」(前田浩史専務)との認識で、生産基盤対策と共に、SDGs具体策とその「見える化」も急ぐ方針だ。

国際化対応を本格化

4月からJミルクに国際委員会を設置する。国際酪農連盟の日本支部の役割を果たしてきたJIDFの組織・業務統合に伴う。酪農乳業の国際ネットワークは今後とも重要で、これまでの欧米やオセアニア偏重から、アジア特に独自の活動を拡充してきた日本の酪農乳業の存在感が増している。日本に典型なモンスーン地帯の酪農乳業の展開は、国際的にも見ても注目を集めており、Jミルク国際委の国内外への情報発信の役割は大きい。

まずコロナ禍過剰に難題

3カ年事業の中で、当面の最難関はコロナ禍での生乳需給対応だ。4重点の中の需給・流通安定の具体策が急務だ。さらには市場開放が加速し、4月から輸入チーズの関税率がもう一段下がる中での国産牛乳乳製品の需要基盤の確立も必要だ。

2021年度は、乳製品過剰在庫が増大する中でのコロナ禍で業務需要不振が続く。半面で夏場は飲用牛乳需給逼迫が顕著となるなど、一層の季節・地域間の生乳過不足が顕在化している。これまで以上に、業界挙げた弾力的な需給調整が問われている。

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