【TPP】市場アクセス、国別交渉は進展なし2013年10月15日
日本の畜産ネットワークが報告会
全国の畜産・酪農関連団体でつくる「日本の畜産ネットワーク」(事務局:中央畜産会、畜産ネット)は10月11日、都内で今月初めにインドネシアのバリ島で行われたTPP首脳会合についての報告会を開いた。
◆地方も都市も大打撃
畜産ネットでは、「TPPに参加すると日本の畜産生産は大きく減る」として、一貫して日本のTPP交渉参加に反対している。そのため、これまで海外で行われてきた関連の会合でも、各団体の会長、理事長など幹部を派遣し、情報交換に努めてきた。
今回の首脳会合は大筋合意に向けた山場になると予測されていたため、6団体計12人の幹部を派遣し、現地での情報収集を行った。
畜産ネット副会長の山氏徹・全国肉牛事業協同組合理事長は、「(これまで出された情報などから)TPPは一部の企業だけが得をする、という確信を持てるようになった。(日本政府は)規模拡大などの対策を打ち出しているが、それで農業がバラ色になることはない」と改めて強い反対を唱えるとともに、「3年前の口蹄疫のとき、現場は一瞬でシャッター通りになった。地域で農業が打撃をうけると、必ずそうなる。関税撤廃すればコストを下げざるを得ず、必然的に人件費が削られる。都心の労働者はそのことをわかっているのだろうか」と、都市も地方もTPPで大きな打撃を受けるようになると強調した。
(写真)
報告会に出席した各団体の幹部など(10月11日、東京・永田町の全国町村会館で)
◆海外進出よりも国内対策
そのほかの報告では、自民党の西川公也TPP対策委員長の発言について「現地では何も聞いていない」としながらも、「公約違反であり、憤りを感じる」と遺憾の意を示した。
市場アクセス分野の交渉については、「各国で個別にオファーを出して、そのリクエストに応える形で個別交渉を進めるらしいが、個別交渉はほとんどなく、この分野の交渉はあまり進展していない印象を受けた」との感想を述べた。
参加した各団体からは、「(現地で行った経団連との情報交換で)日本の畜産は優れており国内向けだけではもったいない、という意見も頂いたが、まずは原点に戻って国内(の需要)をどうするかが大事だと思う」(日本酪農政治連盟)、「卵を生食するという世界的にも類を見ない文化をいかにして守っていくか」(日本養鶏協会)などの課題が述べられた。
また、代表団が現地で経団連の米倉弘昌会長と会った際、経団連側から「日本の畜産について、意見交換したい」という申し出があったことを報告。近日中に実現をめざしたいとの考えを示した。
(関連記事)
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