貿易ルールづくり「農業者の話し合い重要」2014年3月14日
JA全中の村上副会長カナダ農業団体総会で
3月8日に東京都内で開かれた農業協同組合研究会第20回研究会(4面掲載)では、開会に先立って村上光雄JA全中副会長が、2月に訪問し出席したカナダ農業団体の年次総会での意見交換の概要を出席者に報告した。村上副会長は貿易ルールづくりには世界の農業者どうしが相互理解することが重要だと米国やNZ(ニュージーランド)の農業団体とも認識を共有できたとして、WFO(世界農業者機構)など「農業者の組織が今後有効になっていく」と強調した。
◆「関税だけの問題ではない」
JA全中はTPP反対運動を展開するなかで各国農業団体との連携にも取り組みにも力を入れている。
村上副会長は2月26日に開かれたカナダ農業者連盟年次総会のパネルディスカッション「拡大する国際貿易における農業者の適応」にパネリストとして参加した。カナダ農業者連盟のほか、米国、ニュージーランド、EUの農業団体幹部も参加した。
村上副会長は「ディスカッションで明らかになったのは単に関税だけの問題ではないこと。各国の国内農業対策に差があるということだった」と話した。参加者からは関税を引き下げたとしても、国内補助対策を手厚くすれば公平な競争はできないと指摘があったという。とくにTPPでは、たとえば米国の輸出補助金問題には手をつけず関税撤廃だけをめざす、などだ。ただ、参加者どうしで各国の農政に批判もありながらも、それぞれが歴史的、社会的な背景のもとで農業を保護をしていることについて相互理解が進んだという。
◆WTOを通商交渉の場に
カナダ訪問期間中には、カナダの農務・農産食品省幹部や米国の農産物貿易に詳しいコンサルタントとも意見交換。米国がTPA(大統領貿易促進権限)を認めていない現状ではTPP妥結は難しいのではとの見通しを示し、同時に、改めて包括的でバランスのとれた協定をめざすWTO(世界貿易機関)を通商交渉の場とすることや、二国間で協議ができるEPA(経済連携協定)で交渉すべきではないかとの意見が出たという。
村上副会長は意見交換を通じて「国内対策も含めた貿易のあり方を真剣に考えていかなければならない。それには農業者どうしで話をすればお互い理解できる。われわれが組織しているWFO(世界農業者機構)がより有効になっていくのではないか。関税を完全に取り払ってしまうというような無茶な貿易ルールではないものを模索していく必要があると思う」と強調した。
(関連記事)
・米政策で研究会 「政策決定に現場の声を」(2014.03.11)
・農協事業の新機軸を探る 農協研究会が現地研(2013.11.18)
・孫崎享氏「TPP参加に歯止めを」 農協研究会(2013.06.10)
・「自民党農政を問う」テーマに第19回農協研究会(2013.03.11)
・【TPP交渉とこれからの日本農業】多国籍企業と諸国民が対立(田代洋一・大妻女子大学教授)(2014.03.10)
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日