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2015.04.06 
地方自治体と協同組合 地域活性化は二人三脚で JC総研公開研究会一覧へ

 地域の活性化に協同組合の役割が重要になっているが、「地方自治と協同組合の関連性」のテーマで研究しているJC総研は先月、東京で第38回公開研究会を開き、町と連携して循環型林業に取り組んでいる高知県梼原町の森林組合、「買い物難民」のため移動購買車を運行している市民生協の事例などを基に意見交換した。4月18日、同じテーマで公開研究会を開く。

◆町と森林組合連携 循環型林業を展開

 梼原町は高知県の西、愛媛県と接する山間地にあり、森林が町全体の91%を占める林業の町である。循環型林業の育成をめざしており、1999年に出力600kwの風車2基を設け、売電益をもとに「風車基金」を造成した。2000年には梼原町森林づくり基本条例を制定。そのなかで「町は、森林の有する多様な機能を確保し、及びその機能を総合的に向上させることの施策を講じるものとする」と記している。
 町は間伐を行った森林所有者に10ha当たり10万円を交付するなど、林業版のデカップリングを行っている。一方、梼原町森林組合は、2000年に環境に配慮した適切な森林管理が行われていることを証明する国際的認証(FSC)を国内で初めて取得。町産のFSC材を利用する工務店に1棟当たり10万円を補助するなど、二人三脚で森林づくり・管理が進んでいる。
 2005年12月時点のFSC加盟者は1504人で面積1万3563ha。また、工務店への補助は対象は2003年から13年にかけて404棟に達する。さらに町と森林組合、企業の共同出資による木質バイオマス事業を導入するなど、町と森林組合が連携した循環型林業で成果をあげている。
 報告した全国町村会総務部調査室の坂本誠氏は、地域社会の空洞化の一つに経済システムを挙げ、「地域社会を構成する地縁的集落、市町村役場、協同組合の3つの組織の連携が必要」指摘した。

移動購買車が守る地域コミュニティ

 大阪いずみ市民生協は、「買い物難民」のために移動購買車を運行している協同組合のひとつ。だが移動購買車で採算をとるのは難しい。報告した関西大学の杉本貴志教授は「1台で1日10万円の売上げが採算ベースぎりぎり。多くは8万円も上がっていないのが実態ではないか」と分析する。
 だが、ここで国際協同組合同盟(ICA)の第7原則である「地域社会への関与」を挙げ、地域に貢献することの価値を指摘する。
 また同教授は、移動購買車のような事業を通じてコミュニティ自治再建の必要性を指摘する。移動購買車だけでなく、高齢者の「見守り隊」の役目を併せることなどで、地域コミュニティの維持につなげようということである。ただ、「単に移動購買車や、買い物バスを運行するだけでは、地元商店を潰すことになる」と問題提起した。

ソウル市の支援で新組合が続々誕生

 このほか、JC総研客員研究員の丸山茂樹氏が韓国のソウル市を中心に急速に増えている社会的協同組合を紹介。社会的協同組合とは、地域社会の再生、地域経済の活性化、地域住民の検疫・福利増進、そのほか地域社会が直面する問題解決に貢献する事業、脆弱階層の福祉・医療・環境などの分野で社会的サービス、または仕事の場を提供するもので、これを「社会的経済」として、新自由主義の対案として評価する。
 韓国では2012年に施行された「協同組合基本法」がある。既存の協同組合とは異なり、社会的経済の展開を目的とする。丸山氏は、この考えで、協同組合活性化支援条例を制定するなど、ソウル市の積極的な支援を「地方政府と協同組合(自治体)を、協同組合を先頭にした社会的経済の連携によって、グローバリゼーションの弊害に対抗するグローバルな連帯を民と官の協力体制よって組織する必要がある」と指摘した。


 なお、次回の公開研究会は4月18日、今回と同じ「地方自治と協同組合の関連性を考える」のテーマで開く。場所は東京都千代田区神田駿河台の明治大学グローバルフロント。

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