【TPP】日米協議、事務レベル折衝を継続2015年4月21日
4月19日から行われていたTPP日米閣僚協議は合意には到らず、21日未明、両大臣が事務レベル協議を続けるよう指示して終了した。甘利明TPP担当相は「交渉は最終局面にある。国益を最大限に実現すべく引き続き、早期妥結に向けて全力を尽くしていく」と話した。
甘利担当相と米国通商代表部(USTR)のフロマン代表による閣僚協議の2日めは20日午前9時半ごろから始まった。午後5時半ごろに中断し、再開したのが9時半だった。
協議を終え甘利担当相が記者会見したのは21日午前3時すぎ。
「夜を徹した努力により二国間の距離は相当、狭まってきたが、コメを含む農産品および自動車については依然として課題が残っており、まだ合意までには努力を要する。両大臣は双方のチームに残された課題に対処するための作業を継続するように指示をした」と話し、事務レベル協議を継続することを明らかにした。 コメと自動車が大きな問題になっているかについては「もちろん、そうです」とこれを認め、主食用のコメについては「非常に厳しい交渉を続けてきた」と話した。そのうえで「自動車部品は進展したがまだ最終決着はついていない。自動車本体、そして部品、農産品、それぞれに課題は残っており、全体を同時決着に向けて引き続き事務方が汗をかくということだ」と交渉状況を話した。
事務レベル協議については「明日からでも」と話した。USTRのフロマン代表は21日朝に離日したが、カトラー次席代表代行は引き続き日本に滞在するという。事務レベル協議の結果、再度、閣僚協議を行うかどうかは「(事務レベル協議の)進展により必要があれば行われるということ」と述べた。
20日の協議が始まる前には「今日がTPP交渉の最大のヤマ場」との認識を示していたが、協議後は「二国間の閣僚会議をやった意義はあり、と思っている」、「交渉ごとは一方が一方的に歩み寄ることではない。双方が歩み寄るということ。前から申し上げているとおり」と米国も一定の譲歩を示したことを示唆し、28日に予定されている日米首脳会談について「相当に進展したことは事実だから、首脳会談としてはこれを歓迎できるのではないか」と話した。
12か国の閣僚会合での合意については、TPA(貿易促進権限)法案が米国議会に提出されたことをフロマン代表から今回の協議で説明を受けたとして「もともと各国ともTPAの動きがない限り交渉を進めるのは難しいという立場だった。(しかし)TPA法案の見通しが立ってくる、日米がさらに進み出したという、この2つを合わせると他の国との交渉も動き出して、最後の大詰めに向けて動き出していくのではないか」との見通しも示した。
【当面の動き】
○4月23?26日=TPP首席交渉官会合(米国)
○4月22日=米議会、下院歳入委員会でTPA法案公聴会(?)
○4月23日=米議会、上院財務委員会でTPA法案逐条審査(?)
○4月28日=日米首脳会談(ワシントンDC)
○5月23?24日=APEC貿易担当大臣会合(フィリピン)
○5月?=TPP閣僚会合?
(米国議会の予定)
上院=5月23?31日休会下院=5月2?11日休会、5月22?31日休会
(関連記事)
・日米TPP閣僚会議開始 (15.04.20)
・【TPP】粘り強く分析と運動 市民レベルで勉強会 (2015.04.17)
・【TPP】JAグループが国会決議実現へ特別決議 (2015.03.20)
・【TPP】3月5日から日米協議 (2015.03.04)
・【TPP】3月に首席交渉官会合 (2015.03.02)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日