今こそ「支店」重視を-大会議案でシンポ、全農協労連2015年8月27日
全農協労連(齋藤裕・中央執行委員長)は「農業・農協の役割と地域を守るシンポジウム」を8月22日に東京都内で開いた。テーマは「農業・農協改革」下でのJA全国大会の課題。自己改革を掲げる第27回JA全国大会に向け、今後のJAの事業・運動をどうつくっていくかなどを話し合った。
◆総合事業の発展を
シンポジウムでは北原克宣・立正大教授が「農協解体化への対抗軸の形成と農協の役割」と題して基調報告をした。
そのなかで北原氏は、グローバル金融資本主義が地域社会を巻き込み、人と人とのつながりも「ビジネスライクな関係」になりつつあるなか、今後の集落維持も含め農協が地域に果たす役割の重要性は増していると指摘した。その点で第27回JA全国大会議案で「地域の活性化」を打ち出していることは重要だと述べた。
ただ、同時に掲げている「農業者の所得増大」と結びつけることが課題だとした。担い手層や企業的農業経営を中心対象とした所得増大対策が、必ずしも地域の活性化と結びつかないケースもあるのではないかと問題提起。
むしろ具体的に地域を支える拠点づくりとして前回(26回)大会で打ち出した「支店重視」の姿勢が「今こそ大切」と強調した。
ただし、大会議案で「地域の活性化」への取り組みとして政府の「地方創生」に参画する方針を掲げていることについて、「地方創生論は地方消滅論と表裏一体であって安易な便乗は農協自身の首を絞めることになりかねない」と警鐘を鳴らした。
地方創生のめざす姿のひとつがコンパクトシティ。地域の中心部への移住を促進することになり「地域に根ざした協同組合として役割を果たせるのか」との指摘もあった。
◆支店は組織そのもの
パネルディスカッションにはJA三次の村上光雄組合長が参加した。
支店重視の考え方について「支店は総合事業の窓口であり支店を重視しなければ地域の総合農協論は成り立たない」、「JA合併しても支店がしっかりしていれば組合員はついてくる」などと指摘した。また、支店づくりの方向としては地域の特性を活かした事業や組合員との活動を打ち出すべきで「支店長が自らの判断で運営する。その意味では人づくりも重要になる」とも語った。
農業者の所得増大の課題は、JAによる買い取り方式も必要で「JA職員が実需者ときちんと結びつき、何をどう作ればいいかを考えるべき」として、委託販売と予約購買に依存し過ぎず、「組合員のために10円でも100円でも高く売ること。それが集落を守っていくことになる」と強調した。また、職員は専門性を高めて多様化している組合員に対応すべきことなども指摘した。
パネルディスカッションにはほかにJA和歌山県農の古井量也氏(和歌山県農協連書記長)、JAいわて平泉の齋藤禎弘氏(岩手県農協労組委員長)、JAとぴあ浜松養豚協議会副会長の森島倫生氏が参加した。
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