【TPP】福井県 コメ15億円減少-独自に影響試算2016年3月28日
福井県農林水産部はTPP協定(環太平洋連携協定)の農林水産物への影響について独自の試算を行っている。
国の試算方法に基づいて機械的に試算した結果は1.3億円~2.1億円の生産額減少となった。
国の影響試算では農林水産物の生産減少額は約1300億円~2100億円で割合は1.9%~3.1%となる。これに対して福井県の輸入品と競合しない和牛、生鮮食用水産物の生産割合が高いことから生産額の減少割合は0.3%~0.5%と低くなった。
しかし、国が減少額ゼロとした米については国内に安価な輸入米が流通し国産米価格への影響が想定されるとして独自に試算した。試算はキヌヒカリなど業務用米が輸入米に競合し輸入米の価格まで低下すると想定した。試算ではキヌヒカリが11%程度下落するという。 また、輸入米と競合しないコシヒカリ、ハナエチゼンなども業務用米の価格低下率の2分の1の割合で低下する(5.5%)と想定した。この試算方法は国と同じ考え方だ。その結果、米は福井県で約15.2億円生産額が減少する見込みとなった。
国の試算方法による機械的に算出した影響額と福井県独自試算を加えると約16.5億円~17.3億円の影響が出るという結果となった。
福井県は28年度予算でTPP対策を打ち出した。
影響が大きいと見込まれる米関係では▽新たに開発する「ポスト・コシヒカリ」の生産・販売体制の強化、▽条件のよい平野部では農地集積と大型機械による生産コストの削減等、▽米から園芸への転換の促進、▽地域みんなで活性化する里山農業を柱としている。
このうち園芸への転換は水田地帯での集落園芸の導入と大規模園芸施設の導入を推進する。品目はネギ、キャベツのほかパプリカ、トマト、イチゴなども栽培し周年生産による所得向上をめざす。
里山農業は、中山間地域など条件の不利な地域で地域資源を活かした農家レストランや直売所など都市住民を呼び込む事業展開などに推進する。
畜産では交雑種から付加価値の高い若狭牛へ転換を加速する。
そのほか、「日本一の就業支援」として人材育成にも力を入れる。研修・交流拠点「ふくい農業ビジネスセンター」を設置し、「福井百歳やさい」や薬草、ジビエなど特色ある地域資源を活かしたビジネス研修の実施、新規就業者確保に向けたカレッジを農林水産業すべての分野に設置するという。関連予算額は27年度から22億円増やし51億円を確保した。
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