【TPP】違憲立証へ裁判を運動に-4月も口頭弁論2016年3月1日
TPP交渉を「違憲」として提訴した訴訟の第3回口頭弁論が2月22日に東京地裁で行われた。原告3人がTPP協定に盛り込まれているISD条項や食品表示などに関連するルールが憲法が保障する司法権、生存権などに反するなどと意見陳述した。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会(代表:原中勝征・日本医師会前会長)は1582名の原告を集め、昨年5月(第一次)と8月(第二次)に東京地裁に提訴した。その後9月、11月に口頭弁論が行われて2月22日が第3回となった。午後2時30分から同地裁103法廷で開かれた。
第2回口頭弁論で松本利幸裁判長は原告代理人(弁護士)の意見陳述は認めたが原告本人には認めなかった。そのため今回も弁護団は、原告による意見陳述は裁判の口頭主義の原則から不可欠としてその実現を主張したところ、裁判官は協議し原告3人に1人2分間の意見陳述を認めた。
孫崎享・外務省元国際情報局長はTPP協定で「決定的に容認することができないのはISD条項」だと強調し、この条項が司法権の侵害など憲法に違反し「統治機構を根本的に破壊する」と批判した。
NPO法人アトピッ子地球の子ネットワークの赤城智子事務局長は、食物アレルギー原因物質についての日本の厳しい表示基準がTPP協定では貿易障壁とされ、世界基準に合わせる譲歩が行われたら「自分を守るための選択ができない。乳幼児にも患者が多く生存権が脅かされる問題」と訴えた。
パルシステム東京の野々山理恵子理事長は、TPP協定では遺伝子組み換え食品に関する情報共有のための委員会が設置される条項は、企業の意向で遺伝子組み換え食品を推進する協定だと批判したほか、交渉過程が秘密であることは、知る権利の侵害だと強調した。
裁判では政府がTPP協定に署名したことから交渉差し止めを批准差し止めに請求趣旨を変更することを求めたが、裁判所はこれを認めた。
また、広範なTPP協定の各分野について、今後も具体的に立証していくことを原告代理人が主張したが松本裁判長はその予定を示すよう求めたことから、4月11日の第4回口頭弁論以降も審理が確保できたとしている。
辻恵弁護士は「1回1回の攻防が重要で、裁判を続けていく意味が非常に大きい。公開の法廷で具体的な必死の思いを訴え、それを傍聴することが大事だと主張していく」として、引き続き傍聴などでこの裁判を運動として広めていくべきと呼びかけている。
(写真)2月22日の第3回口頭弁論の前に開かれた東京地裁前集会
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