TPP協定文と関連法案を閣議決定2016年3月8日
政府は3月8日、TPP(環太平洋連携協定)協定文と関連法案を閣議決定した。
TPP関連法案のうち農林水産関係は▽牛・豚の交付金の法制化、▽輸入加糖調製品を対象にした砂糖調整金の徴収、▽地理的表示法の改正の3法案。
牛・豚マルキンの法制化は畜産物の価格安定に関する法律の一部改正を改正するが、法律名を「畜産経営の安定に関する法律」とする。
この制度では、肉用牛・肉豚の標準的な販売価格が標準的な生産費を下回った場合、(独)農畜産業振興機構がその差額を補てんするための交付金を交付する。補てん率は従来の8割から9割に引き上げるとともに、豚マルキンの国庫負担水準を引き上げ、国1:生産者1を「国3:生産者1」とする。
あわせて農畜産業振興機構による旧来の買入れ・保管・売渡しによる市場介入、需給操作を行う価格安定制度を廃止する。ただ近年の発動実績はない。
砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律の改正は砂糖の価格調整に関する制度を拡充する。
農畜産業振興機構が、これまで対象ではなかったココア調整品など輸入加糖調製品から調整金を徴収し、これを財源として国内産糖の支援に充当、国内で生産される砂糖の競争力を強化することが目的。対象となるのは砂糖の代替品として輸入している調製品で農林水産省によるとこれを対象にした調整金は初年度で70億円、11年目に100億円となる見込みだという。 地理的表示法の改正はTPP協定で地理的表示の相互保護の仕組みが導入されることにともなうもの。地理的表示(GI)が認定された外国の農産品を日本は保護すると同時に、外国も日本のGI農産品を保護することになる。GIリストを交換して双方が保護するため、日本の生産者が諸外国に対してGI申請をする負担が解消する。ブランド化の促進につなげたい考えだ。
森山農相はこれらの法律の成立によって「さらに現場のみなさんに安心していただけるのではないか。ずいぶん現場の不安も少なくなってきたように思うが、まったくないということではない。さらに丁寧な説明を続けていきたい」と同日の記者会見で語った。
TPPについては米国大統領選の有力候補は反対や懐疑的な姿勢を示している。これについて森山農相は「アメリカでいろいろな議論があることは承知しているが、大筋合意の閣僚会議のときにも、それぞれの国が責任を持って批准に向け対応しようという国際的な約束がある。わが国としては約束どおり進めることが大事だと思っている」と述べた。
(関連記事)
・【シリーズ:TPPを考える】
・【TPP】違憲立証へ裁判を運動に-4月も口頭弁論 (16.03.01)
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