TPP 日米農業者に恩恵-米国ビルサック長官2016年4月27日
世界の食料安全保障の強化のために「新潟宣言」を採択したG7農相会合では、TPPなど貿易の自由化が食料安保のマイナスにならないかも問われた。
農業者の高齢化や農村の疲弊などの課題がG7共通の課題だと認識されたが、地元メディアから「それらは開催地の新潟も抱える課題。TPPなど貿易の自由化は課題解決にマイナスにならないのか」との質問が飛んだ。
これに対し森山農相は「不安を抱いている農業者がいることは承知している」と話し、TPPの合意内容や関連政策を丁寧に説明して農業の体質強化を図り「輸出の推進など攻めの農業を展開していく」考えを強調した。 米国のビルサック農務長官は「貿易は食料安全保障に応える1つの方法」と話し、TPPは「日米双方の農業者がこの協定で恩恵を受けることができる」と指摘した。
会合後のレセプションや食事などでさまざまな日本の付加価値ある加工品を見たと話し「米国の消費者が日本にこれだけ質の高い多様で安全な製品があると認識すれば市場拡大のチャンスはある」と強調した。
農業者だけでなく消費者にとっても選択肢が増えるとして「米国でもTPPの恩恵についてさらに知らしめることが必要だ」との考えを示したほか、食料安全保障にとって「価格」は重要でそのために通商の必要性を説いた。
EUのホーガン委員は、消費者は質の高い食品を求めており、EUは55のFTAを締結して付加価値をつけた産品を世界に販売していることを指摘。それが農村地域での雇用を生み出しており、農村地域の活性化と所得増加に「貿易は不可欠」と強調した。また、日本とEUのEPA交渉は「年内に妥結したい」との考えも示した。米国とEU間の包括的貿易投資交渉(TTIP)も進んでいるが「違いよりも共通点のほうが多い」(ビルサック農務長官)など、TPP合意を機に、農相らからは、メガFTAの締結加速化の意識が感じられた。
なお、今回の会合で森山農相は米国のビルサック農務長官、カナダのマコーレー農業・農産食料大臣とそれぞれ二国間会談を行い、そのなかでTPPの国内批准の双方の手続き状況について意見交換した。
(写真)米国のビルサック農務長官、EUのホーガン委員
(TPPの関連記事)
・【TPP】交渉結果は総合的に判断ー「聖域ゼロ」に反論-政府・自民 (16.04.22)
・【TPP】京都府が独自試算-生産額20億円減 (16.04.21)
・【TPP】政府試算の問題点を法廷で主張-違憲訴訟 (16.04.12)
・【TPP】違憲立証へ裁判を運動に-4月も口頭弁論 (2016.03.01)
・【TPP】2月22日に違憲訴訟第3回口頭弁論 (16.02.19)
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米の支援 見直しを 財政制度等審議会が建議2025年12月3日 -
緑茶の輸出額 前年比2.3倍 農林水産物・食品の10月輸出実績2025年12月3日 -
JA貯金残高 108兆731億円 10月末 農林中金2025年12月3日 -
米の安定供給どう支える? 直接支払めぐり論戦 共助の「基金」提案も2025年12月3日 -
平和的国防産業の寿命【小松泰信・地方の眼力】2025年12月3日 -
【農と杜の独り言】第6回 野菜・あなたのお生まれは? 食の歴史知る機会に 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年12月3日 -
童門氏の「恕」 混迷時こそ必要 "協同のリレー" JCA客員研究員・伊藤澄一氏2025年12月3日 -
【異業種から見た農業・地域の課題】担い手が将来展望を描けること 金融×人材×資源で強靭な地域に 一消費者の視点から 元大蔵省・藤塚明氏に聞く2025年12月3日 -
ご当地牛乳「リソルホテルズ」でウェルカムドリンクとして提供 JA全農2025年12月3日 -
毎年大人気!希少な岐阜の「堂上蜂屋柿」を販売開始 JAタウン2025年12月3日 -
稲作生産者の生産現場に密着 生産者ドキュメンタリー動画を公開 JA全農2025年12月3日 -
JAタウン「ホクレン」北海道醸造の日本酒10商品「送料負担なし」で販売中2025年12月3日 -
冬休みの牛乳消費拡大を応援「メイトー×ニッポンエール 冬のおいしいミルクコーヒー」発売 JA全農2025年12月3日 -
「佐賀県産うれしの茶フェア」5日から全農直営19店舗で開催 JA全農2025年12月3日 -
病院経営の改善に求められる課題は? 「医療の質と生産性向上」セミナー 日本文化厚生連2025年12月3日 -
安全性検査クリアの農業機械 1機種7型式を公表 農研機構2025年12月3日 -
【人事異動】日本製紙(2026年1月1日付)2025年12月3日 -
鶴岡共乾施設利用組合第1回総会開く JA鶴岡2025年12月3日 -
【役員人事】井関農機(12月1日付、12月31日付、1月1日付)2025年12月3日 -
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年12月3日


































