【TPP】政府試算の問題点を法廷で主張-違憲訴訟2016年4月12日
TPP違憲訴訟の第4回口頭弁論が4月11日に東京地裁で開かれ、原告として鈴木宣弘東大教授が意見陳述、政府の影響試算の問題点を指摘し「生産性向上効果を数字に入れてはいけない。本当にどれだけ影響があるかをしっかり試算すべき」などと批判した。
鈴木教授はTPP効果の試算について政府は交渉参加前の試算でGDPを3.2兆円増やすとしていたのが、大筋合意後、昨年12月に示した試算では13.6兆円増と4倍以上に膨れあがったと指摘。また、農業生産額も当初は4兆円減少すると試算していたが、今回は1500億円程度の減少額にとどまると試算した。
この試算について鈴木教授は「意図的な数字操作としか思えない」、「たとえば、米の価格が下がっても生産性は向上するから影響はないという生産性向上効果を入れた試算」と批判、「本当にどれだけ影響があるのかをしっかり試算しそれから対策を打ち出すべき」などと批判した。
口頭弁論後に行われた報告会でも鈴木研究室の試算では農林水産業の生産減少額は1.6兆円で波及効果を入れると3.6兆円になるとした。
また、TPP協定の付属書では7年後に日本だけが主要5か国と再交渉することになっていることを指摘し「TPPは関税撤廃が目標。7年後には、今回は残った関税も残せないかもしれない。国産の安全・安心な食料を私たちが必要なときに必要な量を提供できる体制が風前の灯になってきている。農業保護の問題ではなく、国民の命を守る食料政策の問題」とさらに国民に理解を広げる必要性を強調した。
この日の口頭弁論ではそのほか原告代理人の弁護士がTPP協定で始めて盛り込まれた国有企業の条文の問題点や著作権保護期間の延長と、著作権違反の非親告罪化の問題点などを主張した。
第3回に引き続き原告本人の違憲陳述を実現し、さらに第5回口頭弁論を7月20日に開くことが確認された。
TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会は同日、第2回総会を開き2016年度の活動計画などを承認した。引き続き原中勝征前日本医師会会長が代表を務める。
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