現場には不安の声 一層丁寧な説明を-全中会長が談話2016年11月10日
JA全中の奥野長衛会長は11月10日、TPP協定承認案と関連法案の衆院通過をうけて談話を発表した。
談話発表前に定例記者会見が行われ奥野会長は特別委員会で強行採決が行われたことについて「(丁寧な説明を行うなど)付帯決議がついた。まだまだ審議していないことがある。参院でしっかり知れ渡るような説明をしていただきたい」「政府は(交渉)結果はすべて出しているというが、どういうかたちで出ているか、現場には納得できないという声が多い。66%が慎重審議を望んでいるという共同通信の世論調査結果もある。しっかり議論していただきたい」などと述べた。
また、米国でトランプ氏が次期大統領に選ばれたことについて英国のEU離脱も含め「えっと驚くような結果が出るような潮流が世界に流れているのかと思った」と話しTPPから離脱するとしたトランプ氏の方針についても、もっと現実的な政策を出してくる可能性がある一方、TPPの枠組みではなく米国との二国間交渉になる可能性もあるのではとするなど「(今判断するのは)ちょっと早計ではないか」と情勢を慎重に見極めることが重要とした。
談話は以下の通り。
◆TPP承認案及び関連法案の衆議院通過に関する奥野長衛JA全中会長談話(平成28年11月10日)
本日、衆議院本会議において、TPP承認案及び関連法案が可決した。60時間を超える審議を通じて、数々の論点を明らかにしていただいた一方、報道機関による直近の世論調査では国会での慎重な審議を求める声があがっている。また、想定される影響やそれへの対策が生産現場に十分伝わっておらず、現場には影響に対する不安の声が依然根強くある。
衆議院TPP特別委員会で可決された「情報提供を積極的に行う」、「わかりやすく丁寧な説明に努める」との附帯決議をふまえ、参議院においても、TPPの影響や対策等について、現場の不安や疑問の声により多く応え、一層丁寧な審議を求めたい。
なお、昨日の米国大統領・議会選挙において、米国政府・議会の新たな体制が確定した。TPPの取り扱いも含め、今後の米国の政策は未知数であり、我が国政府には徹底した情報収集をお願いしたい。また、衆議院の審議において、政府は「国益を損なうような協定の再交渉には応じない」と繰り返し答弁しており、この方針を堅持いただきたい。
JAグループは、安全・安心な農畜産物の安定供給を通じて、国民の期待に応えるべく今後とも全力を挙げていく所存である。政府・与党におかれても、平成27年に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」の実現に万全を尽くしていただきたい。
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