「田園回帰」30代で増加 過疎地に女性の移住も 総務省調査2017年3月29日
都市部から過疎地域への移住が30代で増える傾向が、総務省の調査で明らかになった。同省地域創造グループ過疎対策室が行なった「田園回帰」に関する調査研究について3月28日、その中間報告を行い、座長の小田切徳美・明治大学教授は「田舎暮らしはもはや夢として語られるレベルではなく、過疎地域において着実に起きている」と分析する。
過疎地域への移住者は、平成12年が約107万人で、22年は約84万人。約23万人で2割強の減少。この間、全国の移住者数も2割近く減っているが、これを割合でみると、過疎地域への移住者は12年6.6%、22年6.5%でほぼ同率を維持している。
過疎地域への移住者の年齢は、平成12年、22年ともに20代がトップだが、12年の31.4%が、22年は25.0%に低下。一方、30代は22.0%が23.1%に落ちているが、その差は1.9ポイントにとどまる。
また平成12年時点の旧市町村を単位とする過疎区域における総人口に占める都市部からの移住者は、同年に比べ、22年の割合が多くの区域で小さくなっているが、区域の総人口に対する移住者の割合が拡大しているところは246区域(16.7%)ある。そのなかで女性の移住者は40.2%の区域でその割合が拡大しており、20代男性や30代男性より多くの区域で増えている。
この調査はインターネットで都市部の住民の意向も聞いた。それによると30.6%が「農山漁村地域に移住する予定がある」「いずれは移住したいと思う」「条件が合えば移住してみてもよいと思う」と回答。その時期は20、30代で2割前後が「条件が整えばすぐにでも」と、最も積極的だ。
さらに移住後の居住期間は「ずっと暮らしたい」(定住したい)が、全体で23.2%だが、年代別では30代は25.4%で最も高い。また、移住するために必要な条件については、半数以上が「生活できる仕事(収入)があること」を挙げる。
併せて行なった現地ヒアリング調査の結果などから、座長の小田切教授は、「多くの対象者が移住の動機として、暮らしの場、自己実現の場としての地域の魅力を挙げている。過疎地域の地縁的・社会的つながりの強さや地域の伝統文化・生活文化は人材を惹きつけ呼び込むリソースになる。地域固有の魅力を引き出すこと、自分らしく働ける環境を提供できること、また地域と移住者をつなぐコーディネートする人材がいることなどを提示していくことが肝要だ」と、特に人材確保の重要性を強調した。
(写真)若い世代の移住で活気づいた集落の集まり(新潟県十日町市池谷で)
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