需要に応じた生産実現を-JAグループ2017年7月21日
水田農業対策で基本的考え方示す
JA全中はこのほど、「30年産以降の水田農業のあるべき姿」とその実現のための自らの取り組み、必要な施策についてとりまとめた「平成30年度水田農業対策等に関するJAグループの基本的考え方」を自民党の農業基本政策検討PTなどで明らかにした。JAグループは再生協(都道府県と市町村の農業再生協議会)の構成員として30年産以降も需要に応じた生産が必要なことを生産現場に周知徹底する役割を担っていくと同時に、関係団体が一体となって取り組むための全国組織の設置や、米の直接支払い交付金が廃止されるなかで、需要に応じた生産とそれに取り組む生産者の所得向上を実現できる水田農業政策の総合的な充実と強化も求めている。
◆水田フル活用が軸
「基本的考え方」は4月から5月にかけてJAグループが実施した現場の意見募集をふまえて6月の全中理事会で決定した。
30年産以降の水田農業のあるべき姿について、▽需給と価格の安定に向け、水田フル活用に取り組みながら需要に応じた生産を行う。
▽消費者等のニーズに応じた農産物を生産、JAグループは生産者にニーズを迅速・正確に伝達する。
▽地域実態に応じた多様な担い手が生産コスト低減に取り組みながら、地域住民とも連携して安定的に営農を継続する、と生産面での姿を描いている。
流通・販売面では、JAグループが安定供給と流通合理化に取り組むとともに、販売シェアの拡大によるJAグループの価値向上を図る。消費面では水田農業の果たす多面的機能や、食料自給の大切さについて消費者・実需者に理解を深める取り組みを進め、積極的な消費行動につながるような取り組みと、輸出を含めた新規市場にも対応するという姿を描く。
そのうえで、あるべき姿を実現するJAグループ自らの取り組みとそれに対する政策支援と環境整備が必要だとの考えを示している。
とくに30年産からは生産数量目標に従って米づくりをした生産者に対する10aあたり7500円の直接支払交付金が廃止されるため、需要に応じた生産とそれに取り組む生産者の所得向上が実現するよう水田農業政策を総合的に充実・強化する必要があるとJAグループは主張している。
生産調整の見直しに関しては、その方向が決定した平成25年11月の与党実務者協議で「激変緩和措置(米の直接支払交付金を10a7500円とする措置)の廃止に伴い、30年度からはその財源を多様な担い手の経営対策のさらなる拡充等に振り向けることとする」ことが合意されている。JAグループの今回の主張はこのときの与党合意をふまえたもの。 29年度予算で、この10a7500円措置の予算総額は714億円となっており、30年産以降、どう財源を振り分けるかの議論が注視される。
◆計画生産 後押しを
具体策としてJAグループは、需要に応じた生産の実現には、引き続き国によるキャラバンなどでの生産現場や関係者への周知徹底を図ることが必要であると同時に、関係団体が一体となって取り組むための全国レベルでの再生協など全国組織の設置が早急に必要だとしている。
また、経営安定対策のひとつである収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の加入要件は、これまで主食用米を生産数量目標に即して生産することとされてきた。30年産以降は生産数量目標の配分はなくなるが、各地の再生協が提示する適正な生産目安などに基づいた生産に取り組む生産者を加入対象とする必要があるとしている。
麦・大豆のほか、飼料用米や米粉用米などへの転作も支援している現行の水田活用の直接支払い交付金も見直しが必要で、新規市場を拡大するためにも輸出米を支援対象にすることや、主食用米から戦略作物へ積極的な転換へのインセンティブとなる仕組みも措置する必要があるとしている。
同時に、地域の裁量で活用可能な産地交付金も水田フル活用の推進に重要な役割を持っていることから、戦略作物の拡大に対応できるような十分な予算確保も必要だとしている。
重要な記事
最新の記事
-
【第46回農協人文化賞】資金循環で地域共生 信用事業部門・埼玉県・あさか野農協組合長 髙橋均氏2025年7月14日
-
【第46回農協人文化賞】組合員の未来に伴走 信用事業部門・秋田やまもと農協常務 大鐘和弘氏2025年7月14日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2025年7月14日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2025年7月14日
-
主食用米の在庫なし、農機の修理・メンテナンス年3000件 JA常総ひかり2025年7月14日
-
【'25新組合長に聞く】JA岡山(岡山) 三宅雅之氏(6/27就任) 地域を元気にするのが農協の役割2025年7月14日
-
JA全農ひろしまとJA尾道市、ジュンテンドーと 売買基本契約を締結、協業開始2025年7月14日
-
蒜山とうもろこしの宣伝強化 瀬戸内かきがらアグリ事業も開始 JA全農おかやま2025年7月14日
-
酪農の輪 プロジェクト 夏休み親子で「オンライン牧場体験」開催 協同乳業2025年7月14日
-
大阪府泉北郡に「JAファーマーズ忠岡」新規開店 JA全農2025年7月14日
-
食農と宇宙をつなぐイベント あぐラボとMUGENLABO UNIVERSEが共催2025年7月14日
-
岩手県産のお肉が送料負担なし「いわちく販売会」開催中 JAタウン2025年7月14日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(2)2025年7月14日
-
「とちぎ和牛」が7年ぶりに全国最高位 "名誉賞"獲得 「第27回全農肉牛枝肉共励会」2025年7月14日
-
【役員人事】北興化学工業(9月1日付)2025年7月14日
-
第148回秋田県種苗交換会キャッチフレーズ決定 全国906作品から選出2025年7月14日
-
無料でブルーベリー食べ放題 山形・鶴岡の月山高原で地域活性イベント開催2025年7月14日
-
農地調査AI支援サービス「圃場DX」デジタル庁「技術カタログ」に掲載 LAND INSIGHT2025年7月14日
-
クマ対策用電気さく線「ブルーキングワイヤー」販売を本格化 未来のアグリ2025年7月14日
-
屋外作業の暑さ対策製品など展示「第11回 猛暑対策展」に出展 サンコー2025年7月14日