コンクリート張りハウスも「農地」に法改正へ2017年11月8日
コンクリートで地固めしている農業用ハウスは現在、農地から転用した土地(宅地など)とされているが、水耕栽培など営農形態が多様になっている現状に合わせて、これを「農地」として扱うよう農地法を改正する議論が11月7日、自民党の農業基本政策検討委員会で始まった。改正されれば、ハウスをコンクリート張りにする際に農地転用許可手続きは不要となり、固定資産税等の評価も農地扱いとなる見込みだ。ただ、対象や実施時期などは今後検討していく。
農地法上、「農地」は「耕作の目的に供される土地」と定義されている。さらに「耕作」とは「土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培すること」とされている。つまり、農地であるかどうかは登記簿などの地目ではなく、その土地の状況によって判断されることになっている。
そのうえで農業ハウスが建てられている土地について農水省は、▽農地を形質変更せず耕作可能な状態が保たれていれば農地法上の農地に該当、▽コンクリート等で地固めし耕作できない状態になっている土地は農地に該当しない、との見解で対応してきた(平成14年4月構造改善課長回答)。
しかし、最近は営農形態が多様化し、土を使わない水耕栽培や、人手不足を補うための収穫用ロボットなどの導入、さらに病害虫の発生防止や衛生管理まで行う環境制御型のハウスなども登場している。これらはいずれも新たな施設、技術の導入のために床をコンクリートで覆い均一な地面とすることが求められる。
このような施設を作る場合、現在は農地転用許可を受ける必要があるほか、農地転用により相続税・贈与税の納税猶予の対象外なり、固定資産税も宅地並みとなる。
農水省によると一般農地の固定資産税額は全国平均で10a1000円程度だが、「農業用施設の用に供する宅地」となると10倍以上となる。
こうした現状をふまえ施設園芸農業の負担等を軽減するためにコンクリート張りのハウスも農地と扱う法改正を検討する。
農水省は農地法は農地の「効率的な利用を確保する」ことを目的にしており、農地の効率的な利用を追求し、営農形態が高度化した結果、「コンクリート張りが必要になった」として、これを農地法の目的に照らして農地転用だすることが適当なのか、という考えを示す。
一方、自由にコンクリート張りできるとなれば「5階建てのビルを造ってそのなかで野菜工場をすると言っても農地ということになるのか」(出席議員)など、建物が農業目的以外にも利用できることになりかねないことから、農水省は「行政サイドが農業目的の施設に該当するかどうかを把握できるようにする必要がある」としている。
会合で農水省の大澤誠経営局長は、コンクリート建ての施設など「現実的でないものは対象にしない。建てる前に農業委員会がチェックするなどの仕組みが必要ではないか」などと対象を限定する方針を示したほか、実施時期についても検討することにしている考えも明らかにした。
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