TPP11 衆院本会議で可決 賛成討論なし2018年5月18日
衆議院外務委員会で5月18日午前に可決されたTPP11協定は午後からの本会議に緊急上程され与党の賛成多数で可決、来週以降、参議院で審議されることになった。衆院本会議では野党が反対討論をしたものの、与党からは誰も賛成討論に立つ議員はいなかった。
午後1時からの本会議では土地改良法改正案など予定されていた法案等の採決が行われた後、自民党議員がTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求める件)の採決について緊急動議を提出し議題として追加された。
外務委員会の中山泰秀委員長が委員会審議を報告し、その後、討論に。TPP11協定は4月17日に本会議で趣旨説明されたが、委員会審議が行われたのは5月11日。同日は河野太郎外相が法案の趣旨説明した後、ただちに審議入りし、16日、18日とわずか3日間審議されただけで本会議に上程された。
立憲民主党の阿久津幸彦議員は反対討論で政府・与党に対して「強引極まる国会運営。誠意に欠ける」と強く批判。加計学園問題や森友学園での文書改ざん問題などはいまだ不十分な対応であり、さらにTPP11のこの日の採決は「国会軽視もはなはだしい横暴ぶり」と訴えた。
TPP11の問題点として乳製品のTPP枠が米国が離脱したのに見直されていないことや、医薬品の知的財産問題、ISDS条項など産業や生活への懸念は少しも解消されていないと協定に反対した。
国民民主党の関健一郎議員は「本来必要のない委員長職権による緊急上程だ」と批判。TPP11の内容については審議不足であることや、米国離脱にともなう協定の見直しが行われていないこと。政府がTPP協定は各国の複雑な利害を調整した「ガラス細工」というが米国が抜けた協定は「バランスの崩れたガラス細工だ」と指摘し、国民や農林業者の不安はまったく払拭されていないと反対した。
日本共産党の田村貴昭議員はまともに審議されていないなか「採決など論外」と反発。TPP11では知的財産に関わる項目で凍結事項があるが、「関税撤廃や削減では凍結要求もしていない」と交渉を批判するとともに、新たな日米間交渉では牛肉、米、乳製品でTPP以上のことを米国から求められる懸念も挙げ、食料主権、経済主権を互いに認める通商交渉の必要性を訴えた。
本会議では野党席から「賛成討論はないのか」との声が繰り返し飛んだが自民・公明両党議員から賛成討論はないまま、大島議長は採決に移り、午後1時30分すぎに起立多数で可決した。
(関連記事)
・審議わずか6時間 TPP11 委員会可決(18.05.18)
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米の支援 見直しを 財政制度等審議会が建議2025年12月3日 -
緑茶の輸出額 前年比2.3倍 農林水産物・食品の10月輸出実績2025年12月3日 -
JA貯金残高 108兆731億円 10月末 農林中金2025年12月3日 -
米の安定供給どう支える? 直接支払めぐり論戦 共助の「基金」提案も2025年12月3日 -
平和的国防産業の寿命【小松泰信・地方の眼力】2025年12月3日 -
【農と杜の独り言】第6回 野菜・あなたのお生まれは? 食の歴史知る機会に 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年12月3日 -
童門氏の「恕」 混迷時こそ必要 "協同のリレー" JCA客員研究員・伊藤澄一氏2025年12月3日 -
【異業種から見た農業・地域の課題】担い手が将来展望を描けること 金融×人材×資源で強靭な地域に 一消費者の視点から 元大蔵省・藤塚明氏に聞く2025年12月3日 -
ご当地牛乳「リソルホテルズ」でウェルカムドリンクとして提供 JA全農2025年12月3日 -
毎年大人気!希少な岐阜の「堂上蜂屋柿」を販売開始 JAタウン2025年12月3日 -
稲作生産者の生産現場に密着 生産者ドキュメンタリー動画を公開 JA全農2025年12月3日 -
JAタウン「ホクレン」北海道醸造の日本酒10商品「送料負担なし」で販売中2025年12月3日 -
冬休みの牛乳消費拡大を応援「メイトー×ニッポンエール 冬のおいしいミルクコーヒー」発売 JA全農2025年12月3日 -
「佐賀県産うれしの茶フェア」5日から全農直営19店舗で開催 JA全農2025年12月3日 -
病院経営の改善に求められる課題は? 「医療の質と生産性向上」セミナー 日本文化厚生連2025年12月3日 -
安全性検査クリアの農業機械 1機種7型式を公表 農研機構2025年12月3日 -
【人事異動】日本製紙(2026年1月1日付)2025年12月3日 -
鶴岡共乾施設利用組合第1回総会開く JA鶴岡2025年12月3日 -
【役員人事】井関農機(12月1日付、12月31日付、1月1日付)2025年12月3日 -
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年12月3日


































