審議わずか6時間 TPP11 委員会可決2018年5月18日
・本会議上程野党は猛抗議
衆議院の外務委員会は5月18日午前、TPP11協定を自民、公明の与党の賛成多数で可決した。野党はわずか3日、計6時間の審議での採決に厳しく抗議したが、衆院本会議に上程された。
衆議院外務委員会で立憲民主党・市民クラブの山川百合子議員は「たった3日。必要な審議が尽くされていない」と批判。米国が離脱したにもかかわらず、見直しされていない乳製品などのTPP枠や牛肉のセーフガード措置の実効性など「根強い懸念があるにも関わらず、政府は影響を示していない」ことを指摘したほか、知的財産の合意内容やISDS条項などまともに議論されていないことに抗議した。
国民民主党・無所属クラブの小熊慎司議員は各国との交渉経緯も明らかにされず「政府は説明責任を放棄した」と強く批判。米国が離脱したが「2016年11月にTPPは米国抜きでは意味がないといったのはそもそも安倍総理ではないか」と批判。また、米国が入っていなければ根本的なバランスが崩れるとしたにも関わらず、米国が離脱したTPP11が「国益にかなうと政府は説明できていない」と指摘。
2012年の総選挙で国益にならないTPP交渉には参加しないことを公約に掲げた政府・与党に対して「国民に真摯に向き合ってこなかったツケが大きくなった。不透明なTPP11で無責任だ」と強く反発した。
元外相で無所属の会の岡田克也議員は6時間の審議時間は「TPP12も審議不十分といわれたが、その10分の1」と指摘。米国の離脱でTPPにくらべて経済効果が6割にとどまり「TPPとTPP11は似て非なるもの」だと強調、にも関わらず、その検証もされず「あまりにも拙速だ」と批判した。
また、ISDS条項について政府は日本企業にプラスになると主張するが「それはあまりに一面的だ。巨大企業に有利な条項で国家が訴えられ主権を制限することになるのではないか。安易に考えるべきではない」と主張、日EU・EPAでもEUはISDS条項の合意には意義を唱えていること指摘し、政府に「強く抗議する」と述べた。
日本共産党の穀田恵二議員は採決に「厳しく抗議する」と主張、食の安全、国民の暮らし、労働に関わる問題など引き続き徹底した審議が必要だと批判した。
限られた審議でもTPP11は関税撤廃、非関税障壁の撤廃などTPPの本質はそのままで「国会決議に真っ向から反する状態も改善されていない」ことを強調したほか、一方では米国との間で通商交渉の新たな協議が始まることについて「TPP以上のものを求めてくるのは明白だ」として日本が選択すべきは「食料主権、経済主権を尊重した互恵的な経済関係だ」と訴えた。
その後、採決が行われた。野党席から「反対」の声が上がるなか、自民・公明議員の起立多数で可決した。
(関連記事)
・TPP11 衆院本会議で可決 賛成討論なし(18.05.18)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日