日本発「ASIAGAP」と「JFS」がGFSI承認取得2018年11月16日
農林水産省は11月16日、日本発の食品安全規格である「ASIAGAP」(アジアGAP)と「JFS-C」が国際的な組織であるGFSIの承認を取得したと公表した。これらの認証を取得した農場や食品工場などは、これまでにGFSIに承認されているグローバルGAPやFSSC22000などの9つの国際的な食品安全認証プログラムと同等の規格となる。
GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品イニシアティブ)は、世界的に事業展開している主要な食品企業が平成12年に発足させた組織で、世界にある多種多様な食品安全認証プログラムの等価性を図るためのプログラムを運用している。欧米を中心とした食品小売・製造事業者では、このGFSIに承認された認証を取得しているかどうかが取引条件となりつつある。
こうした流れのなかで政府は農産物の輸出促進のためにも、グローバルGAPなどの国際的に通用する認証取得の推進に加えて、日本発の民間認証が国際的に通用する規格にすることも課題としてきた。
そのなかでGAP(適正農業規範)の取り組みでは、日本GAP協会が日本でもっとも認証件数の多いJGAPをもとに、GFSIの要求事項に応じてASIAGAP(アジアGAP)として改訂し、29年に11月にGFSIに承認申請を行った。それが、ほぼ1年をかけた審査を経て、このほど承認された。
日本GAP協会によると、9月末現在でアジアGAPは1700農場が取得している。GFSI認証取得によってこれらの農場は国際的に通用する認証を得たことになる。
アジアGAPの特徴は青果物に加えて、米など穀類と豆類、茶が認証対象になっていること。日本GAP協会は「アジアの作物であるコメにこだわった。今後、アジアGAPがデファクトスタンダードになるよう広め、日本の農産物の輸出に貢献していきたい」(松井俊一代表理事専務)としている。
また、現在、2800農場がJGAPを取得しているが、今後はアジアGAPにステップアップすることで国際的に通用する認証を得ることができる。
一方、食品製造業を対象にした食品安全規格「JFS」は食品安全マネジメント協会が運営しており、GFSIの要求事項を満たすように新たな規格としたJFS-Cが申請からほぼ1年を経て、このほど認証を取得した。10月末で31工場が認証を受けている。
JFSの特徴は日本語の規格であり日本の事業者が使いやすく、従業員に食品安全文化を浸透させることにも役立つこと。また、日本の食文化である刺身や醤油、味噌などの発酵食品の安全管理が国際標準にそって実施できるメリットもある。
これらの認証を受けた農場や食品事業者は自社の食品安全マネジメントが国際的に認められた水準にあることを対外的に示すことにつながり、輸出取引も容易になる。また、アジアGAPとJFS-Cが国際認証を取得したことで、川上と川下が連携しフードチェーンとして網羅的にGFSIの承認を取得することにもなる。
今回の承認取得で日本GAP協会と食品安全マネジメント協会は、食品安全マネジメントに関する国際的なルールづくりに関わる手段を獲得したという面もある。
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