備蓄米確保へ運用改善検討-農水省2019年4月4日
農林水産省は、4月3日の自民党農業基本政策検討委員会で政府備蓄米を確実に確保するため運用を早急に見直すことを明らかにした。現在は個々の農家の意向を積み上げたうえで入札をしているが、JAや集荷業者の裁量で集荷見込み数量をもとに入札できるなどの方式も認める方向で検討する。
(写真)自民党農業基本政策検討委員会 4月3日
31年産政府備蓄米の買い入れ予定数量は、TPP11発効にともなう豪州枠9000tを追加した20万9000t。3月26日までの4回の入札で14万6000tを落札したが、6万2000tが残る。
31年産備蓄米について農水省は主食用米と同水準の60kgあたり1万3700円程度となることなどを説明した。農水省によると、JAからも「備蓄米の価格水準は魅力的」との声や、他産地と競合せずに落札できる都道府県別の優先枠を拡大したことや、国への引渡し時期を前倒して産地の保管経費を軽減するなどの運用見直しも評価するとの声も出ている。
31年産主食用米の適正な生産量は718万t―726万tとされており、30年産から▲9万t―▲17万tを削減することが必要になる。これを達成するには備蓄米と飼料用米などの作付け転換が必要で、小野寺五典・自民党農業基本政策検討委員会委員長は「備蓄米20.9万tの買い入れで9万t分の削減となる」と強調した。
しかし、JAからは現行の制度では備蓄米に取り組む農業者の同意が必要で「こうした個々の農業者の同意を取り付けることが大変で進まない」との意見もある。
この日の会合でも藤木眞也参議院議員からJA組合長として同意取り付けに苦労したとして「個々の農家との契約ではなく、JAが一括した集荷した米から備蓄に取り組めるように変えてもらいたい」とJAの裁量で入札量を決められるような運用改善を求めた。
これに対し農水省は地域農業再生協議会ごとの作付け面積動向を把握するために、個々の生産者に聞いているとして、今後はJAや集荷業者が集荷量から備蓄米に振り向けることができるような運用改善を「速やかに検討したい」と回答した。
次回の入札は4月16日だが、6月まで入札を続け買い入れ予定数量の全量契約をめざす。
会合では備蓄米が農業者の経営安定にとってメリットがあることなど生産者にまだ十分伝わっていないことも指摘され、今後の周知徹底が求められた。
また、出席したJA全中の高橋正水田農業対策委員長は、JAグループとして備蓄米も含め飼料用米への転換など、適正な主食用生産となるよう取り組みを進める考えを示したが「系統以外への働きかけも必要」と行政に求め「米生産者全体で米価を安定させ日本農業を守っていく」と強調した。
野村哲郎農林部会長は「当面やらなければならないのは備蓄米を確実に達成すること。それだけでなく、いかに(来年6月末在庫量を)180万t水準にするか、何度も弾込めしていく必要がある」として、出来秋まで適正な需給となるよう対策を検討していく必要性を強調した。
JA全中の金井常務は備蓄米の推進と飼料用米等の非主食用米への作付転換を進めていくとし、行政の協力と必要な予算の恒久的な確保も求めた。
小野寺委員長は飼料用米については29年産の9.2万haの作付け面積に戻れば(30年産米では8万ha)、主食用米の8万t分の削減上乗せとなり、備蓄米買い入れ分と合わせて、農水省が示した前年産より▲17万t―▲9万tを達成できると指摘した。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日
-
参議院選挙に行ってとんかつ割引「選挙割り」実施 平田牧場2025年7月4日
-
作物と微生物の多様な共生が拓く農業の未来 意見論文が米国植物科学誌に掲載 国際農研2025年7月4日
-
国産率100%肥料の商品を販売開始 グリーンコープ共同体2025年7月4日