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故・松岡公明農林年金理事長の死を哀しむ 今村奈良臣名誉教授が弔文2019年5月8日

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農協運動の先頭に立って活動した故人をしのぶ

 農林漁業団体職員共済組合(農林年金)理事長の松岡公明(まつおか・こうめい)氏(62歳)が4月28日、登山中の事故により逝去されました。
 通夜は5月12日午後6時から、葬儀は5月13日午後1時から,築地本願寺第二伝道会館で執り行われます。
 喪主は奥様の民子(たみこ)さん。

 故人と親交が深かった東京大学名誉教授の今村奈良臣氏に弔辞をいただいた。


弔辞

 令和改元の長い休日が終わろうとしていた日の朝、突如、松岡公明君が世界自然遺産の白神山地の山中で滑落し死亡したとの報を教え子から頂き、我が耳を疑いつつも、第二報で青森県深浦町の山中で4月28日に滑落し、警察から連絡を受けた奥様が5月6日午後に、ご本人に間違いないことを確認されたとの報に接した。
 ここに、絶句しつつも心から哀悼の辞とともにご冥福をお祈り申し上げる。
 松岡公明君はのちに紹介するようにJA関連の多彩な組織ですぐれた活動を行うとともに、大変な勉強家でもあり特に近年多彩な著作を出版され、多忙な時間を割いて全国にわたり講演を行うなど、実に精力的に農協運動の先頭に立って活動してきた。他方、趣味は山登りと渓流釣りで、特に亡くなられた白神山地はたびたび訪ねていたようで、あの美しいブナ林を誉めたたえる言葉を私は何度も耳にしてきた。その白神山地で亡くなられたのは、あるいは本望だったかも知れない。

 

▼JAにおける活動とその略歴

 略歴を簡潔に紹介しておこう。
 亡くなられた時の現職は、農林漁業団体職員共済組合(農林年金)理事長。
 1956(昭和31)年、熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1981(昭和56)年全国農業協同組合中央会入会。米麦課時代に「新食糧法」(1994(平成6)年制定、95(同7)年施行)を受けて「RICE戦略」を策定、実践。次いで生活課ではJAの介護保険事業をたち上げ、さらに男女共同参画基本法に基づく「JAにおける女性参画」を担当。次いで営農企画課では農産物マーケティング戦略の策定実践を行った。さらに、私が代表をつとめることになった「JA-IT研究会」という自主研究組織の企画担当役員をつとめ研究会の企画立案に大きく寄与して頂いた。
 ついで、水田農業対策室長となり、「水田農業ビジョン策定」とその実践ならびに集落営農の推進に全力を傾けられた。ついで食の安全対策室長時代には、農畜産物の生産履歴記帳運動を推進し、さらに全農改革推進本部では営農渉外担当制(TAC)の設立とその推進を行うなど精力的な活動を展開してこられた。
 ついで、2009年に協同組合経営研究所常務理事、11年にはJC総研(日本協同組合研究所)常務理事、日本協同組合学会常任理事、2013(平成25)年には(一社)JC総研業務執行理事などの要職をつとめられたうえで、2014(平成26)年に農林年金理事長になられた。
 その理事長をつとめるなかで、2018(平成30)年5月に衆参両院全会一致で可決した「農林年金改正法」の成立に尽力し、農林年金制度完了にあたっての重要かつ貴重な仕事を理事長として完遂された。この法律改正の成立により、特例年金の給付(年金給付)に代えて「一時金」を支給することにより農林年金の給付を終了させることができた。この一連の活動は高く評価されている。

 

▼研究・著作活動を精力的に行った

 まず、主な著書、論文を一覧表として示しておこう。
(1)『現場からのJA運動──JA運動のダイナミズムを再生するために』単著、家の光協会、2012年9月
(2)『JAの販売事業の革新』(共著、JA全中)
(3)『志せ、営農の復権!─JA改革の仕掛け』(共著、JA全中)
(4)『協同組合の役割と未来─共に生きる社会をめざして』(共著、家の光協会)
(5)『JAのフードシステム戦略──販売事業の革新とチェーン構築』斎藤修・松岡公明共著、農文協、2013年9月
(6)『支店協同活動で元気な人づくり』松岡公明・小林元・西井賢悟著、家の光協会、2013年7月

 

▼想い出の一端

 松岡公明君は実に精力的に農業協同組合運動の推進に取り組むだけでなく、登山と渓流釣り、そしてこよなく酒を愛した。これらにまつわる話を始めると長くなるので2点だけ故人のため、そしてまた読者のために伝えておきたいことのみ記すことにする。
 まず、酒のことである。酒を呑み談論風発。政治・経済などの社会批判、JA運動のあり方などへの批判や意見など止まるところを知らない豊かな飲みっぷりは多くの方々は存知あげていると思う。そういう折に、私は一度だけ意見したことがある。「大いに呑み、談論風発、それはよい。しかし、大事なことは、いくら飲んでも、朝4時には起きて、きちんと論文を書くようにしないと、人間が駄目になるぞ!」と。それから松岡君はがらりと変わった。「朝4時起きして論文を書くようにしております」と。彼のダイナミックな論文、著書が次々出るようになった。
 いまひとつは、私が全国にわたりすすめていた「農民塾」を君もしたらどうかと言ったことがある。北アルプスになじみの彼は、早速「JA松本ハイランド」で農協塾を興したから一度来てくれませんか、と誘われていたが、これまでに果たせずに終わってしまった。残念至極である。
 さらに、JAーIT研究会は昨2018年10月19日に「第50回記念公開研究会」(テーマは「農協の使命と可能性」)を開催したが、その折の記念講演を松岡公明君は「協同組合の『かたち』と『こころ』」というタイトルで見事なすぐれた講演をしてくれた。その折に用意してくれたレジュメは実に33ページにも及ぶ重厚な原稿であった。これが、彼の遺稿になったのではないかと、いましみじみと想い出している。

 合 掌   今村奈良臣

 

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