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農民の組織化 6次化など事例を共有-G20農相会合2019年5月14日

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飢餓の終結食料安保を重視

 日本が議長国となり6月27日から大阪で開かれるG20サミットの関係閣僚会合の皮切りとなるG20農相会合が、5月11日から新潟市の朱鷺メッセで開催された。テーマは「農業・食品分野の持続性に向けて-新たな課題とグッドプラクティス(優良事例)」。世界34カ国・機関から合計300人が参加し農業関係では過去最大の会合となり12日にG20新潟農業大臣宣言を採択した。大臣間で率直に議論するため初めて3つの分科会で議論したほか、終了後は新潟市内のほ場で自動運転トラクターの現地視察なども行った。閣僚宣言には各国の優良事例集を付属書として公表し、JAグループによる途上国の農民組織づくりの事例なども掲載された。

閣僚宣言採択後の吉川農相

閣僚宣言採択後の吉川農相の記者会見

 

◆先進国で高齢化進む

 G20は経済規模の大きい国が集結する経済協調フォーラムで世界のGDPの8割以上を占める。農相会合は2016年の中国会合から定期会合となった。今回、新潟市にはG20メンバー国の農業大臣のほか、アセアン議長国のタイなど招待国6か国と国連食糧農業機関(FAO)、世界貿易機関(WTO)などの国際機関も招かれた。
 G20は世界の農地の約60%、農産物貿易の約80%を占める。農相会合は世界の農業と食料を取り巻く課題について認識を共有し解決策を探る機会となる。
 議長を務めた吉川農相は開会のあいさつで「人口増加、気候変動、越境性動植物疾病の発生、情報化の進展などの問題が国という単位を越えるかつてないインパクトで広がりつつある」と切り出した。ただ、これらに立ち向かうにも、世界的に農業者の高齢化が進展し、土壌流出など生産基盤の喪失が課題となっている一方、生産された食品のロスや廃棄も問題となっている。農業者の高齢化はわが国だけでなく、米国でも50歳以上は57%、英国も51%となっている。
 吉川農相は「農業は国の基。規模の大小に関わらず新たな挑戦をしていかなければならない」と出席者に呼びかけた。

 

◆増える飢餓人口

 こうしたなか栄養不足人口は2015年から3年連続で増加し2017年には8億2100万に達したと推計されている。ただ、FAOの試算では生産された食料のうち、約3分の1、13億tが廃棄されているといい、フードバリューチェーンが確立されていないことが栄養不足人口に増加につながるとともに、農業者の所得向上、農村開発への妨げともなっている。

 

IDACAなど途上国の農協づくり支援などを説明したブースJA全中が出展したIDACAなど途上国の農協づくり支援などを説明したブース

 

◆新技術を現場で活用

 こうしたなか新潟農業大臣会合では農業生産性の向上のために、日本が推進しているスマート農業で活用しているICTやAI、ロボット工学をさらに活用することが重要だと宣言した。
 ただし、一部の先端的な農業経営者だけが恩恵を受けるのではなく、「新規就農者および小規模農家を含むすべての農業者が、年齢、性別および住んでいる場所に関わらず、知識および技能へアクセスできる環境が必要」と強調している。また、農業に関わる人づくりの重要性も盛り込み、女性の地位の向上、若者を引きつけるための技能訓練の必要性、すべての農業者が新技術に対応できるような生涯学習の重要性なども明記した。
 また、農家の収入がおもに国内市場でもたらされることから、フードバリューチェーンの発展の重要性を強調し、それを家族農家と小規模農家、女性、若者も最大限利用できるようにすることも盛り込んだ。また、国連の家族農業の10年について留意することも明記した。
 ただ、一方で米国など農産物輸出国もあることから、効果的なフードバリューチェーンの実現のために貿易が不可欠であることや、農業に関係する貿易ルールを改善するための国際的な取り組みを歓迎するとの文言もある。同時にフードバリューチェーン発展に画一的な戦略はないとし、各国の農業構造や、協同組合など役割も考慮する必要があるとしている。

 

無人田植機よる田植え会合終了後に実施されたスマート農業の視察 無人田植機よる田植え

 

◆優良事例を共有

 宣言では世界的課題に対応するための協力と知識を交換する必要性も挙げた。
 国連のSDGs(持続可能な開発目標)を支持することを再確認し、飢餓の集結と食料安全保障、栄養改善を達成し、持続可能な農業を推進するとの考えを示した。また、致死率100%で越境性のアフリカ豚コレラを具体的に挙げて、情報の共有と対策の重要性を指摘した。
 今回の会合で認識が共有された課題は、「国という単位を越えた世界に共通することが明らかになった」と吉川農相は指摘し、スマート農業など日本の取り組みは世界の農業・食料問題の解決に貢献することになると話した。
 そうした各国の取り組みを共有しようと今回まとめられたのが優良事例集である。そのなかではJAグループによる発展途上国の農民組織の育成支援も挙げられている。閣僚宣言を実現する政府の取り組みとともに、現場の取り組みを引き続き発信していくことも重要になる。

 

◆2019年G20農業大臣宣言のポイント

<世界の農地の約60%、農産物貿易の約80%を占めるG20農業大臣として、増加する世界人口を養うために、資源の持続性を確保しつつ生産性を上げていくことをめざす>
【1】農業の生産性向上とイノベーションに向けICT、AIなど活用促進。
 ○研究開発への農家の積極的な参加推進とICTなどを活用できる必要なスキルの習得環境の整備。
 ○女性、若者を含むすべての人が農業データにアクセスできる基盤整備に各国が努力。
【2】フードバリューチェーンの発展に向け、とくに食品ロス・廃棄にG20が主導的立場をとる。
 ○フードバリューチェーン(FVCs)を通じた農村開発に向けても各国が努力。
 
○FVCsの効果的な運用には、開かれた予見可能性、透明性のある貿易が不可欠。農業貿易ルールの改善に向けた国際的な努力の継続を歓迎。国際ルールの遵守を各国に呼びかけ。
【3】農業大臣としてSDGsへの支持を再確認
 ○国連の持続可能な開発目標のうち、とくに飢餓の集結や食料安全保障、栄養改善の達成、持続可能な農業の推進を主眼に取り組む。
 ○アフリカ豚コレラ、鳥インフルエンザなど動物疾病対策を重要視。
【4】課題解決に単一処方はなく、各国の知見を共有し蓄積
 ○G20各国の優良事例集を閣僚宣言付属書とする。

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