公的機関品種の9割 海外持ち出し禁止-農水省2021年4月13日
農林水産省は改正種苗法施行に伴って4月9日に1975品種を海外持ち出し禁止とした。今回はすでに登録されている品種と出願中の品種を対象にしたもので公的機関の開発品種のうち約9割が持ち出し禁止となった。既存品種の届出は9月30日までが期限で農水省はさらに届出するよう関係機関に促している。
改正種苗法は2020(令和2)年12月2日に臨時国会で成立、9日に交付された。おもな条文の施行日は2021(令和3)年4月1日と、2022年(令和4)年4月1日となっており、海外持ち出し制限はこの4月1日から施行された。
農水省は今回の種苗法改正の最大の狙いをわが国で開発された優良品種の海外流出防止と強調してきた。
その事例のひとつがシャインマスカット。苗木が中国や韓国に流出して産地化し、さらにタイやマレーシア、ベトナムでも販売確認されるなど、流出先国だけでなく第3国の市場も奪われている状況になっている。
シャインマスカットはもちろん知的財産権として保護されているが、改正前の種苗法では登録品種が販売された後に海外に持ち出されることは違法ではなかった。
今回の法改正で海外持ち出しを禁止することができるようになったが、自動的に禁止できるわけではなく、出願者が輸出先国を指定し農林水産大臣が公示するという手続きをとる。
その際、輸出先国について「指定国なし」と届出することで海外への持ち出しがすべて制限される。9日の公示はこの仕組みを既存の登録品種と出願中の品種を対象にした経過措置として行われた。
既登録品種1702、出願中の273品種が海外持ち出し禁止となった。農研機構など3つの公的機関と42道府県が開発した品種でシャインマスカットや、べにはるか、北海道のゆめぴりか、福岡県のあまおうなど、米のほか、果樹、野菜の登録品種が公示された。
農林水産省によると令和元年度末で登録品種は7750品種。そのうちの2割が海外持ち出し禁止と公示されたが、公的機関の開発品種に限ると9割が公示されたという。
既存の登録品種と出願中品種を対象にした経過措置は9月末まで。この間に届出を追加することができる。すでに追加の届出が出されており、農水省は精査中。順次、官報で公示されていくという。
改正種苗法では、出願者が持ち出しを許可する国を「指定国」として届出し、事後的にそれを取り消すことはできない。実際にその種苗の輸出と栽培などビジネスが生まれたものを後から出願者が止めることはできないことになっている。
そのため登録品種を慎重に扱いたい場合、まずは「指定国なし」として全面的に海外持ち出しを禁止することが望ましいと農水省は推奨している。
種苗法改正で種苗の販売事業者には登録品種の表示が義務化される。品種名のほか、海外持ち出し禁止や国内栽培地域を制限することなど利用条件を表示する義務がある。
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