バターの輸入量を拡大-農水省2021年10月8日
農林水産省は10月1日、2021(令和3)年度のバターと脱脂粉乳の輸入数量枠を見直し、バターの輸入数量を1500t増やすことを決めた。
バターや脱脂粉乳の輸入は国内需給に影響を与えないよう国家貿易で管理し、輸入数量は毎年1月に次年度の全体を枠を決めて、5月と9月にその数量を検証する制度になっている。
2021(令和3)年度は生乳換算で13万7000tと最低限の輸入量とし、5月の検証では据え置くことにした。
最近の需給状況は、コロナ禍で業務用の牛乳乳製品需要が減少したことから、生乳をバターと脱脂粉乳に仕向けたことから8月末の在庫量はバターが前年同月比2489t増の4万2410t、脱脂粉乳が同5729t増の9万547tとなっている。
農水省はこうした十分な国内在庫量をふまえ、引き続き輸入枠数量を据え置くことを決めた。
ただし、全体の輸入数量は変更しないものの、これまでの輸入・売渡入札の実績をもとに品目ごとの枠数量を設定した。
それによると製品重量でホエイは1532t(生乳換算約1万t)、バターオイルは307t(同約5000t)とし、脱脂粉乳は日米貿易協定に基づく750t(同約5000t)に据え置く。
一方、バターはこれまで全量落札されており、年末に向けて需要期を迎えるため、1500t増やし9000t(同約11万7000t)とする。
農林水産省によると昨年のバター輸入量は1万3533tで、輸入バターに限定して利用する業者にとっては不足することが見込まれることから、最低限の輸入量である生乳換算13万7000tの輸入を行うため、バターを増やすことにした。国産の在庫には影響しないという。
一方、国内で高い水準となっている脱脂粉乳の在庫については、国によって飼料用に活用する支援が行われているほか、ホクレンで新規需要確保対策が進められ1万t程度の削減が見込まれ、期末在庫は9万6900tとなる見込みをJミルクは示している。バターも需要拡大対策が進められ期末在庫は3万6500tと昨年を下回る。
それでも脱脂粉乳は史上最高の水準となる見込みで、これ以上の在庫の積み上がりを避けるには、業界として健康維持に牛乳乳製品が貢献できることをより発信し、バランスのとれた食生活をPRしていくことなどに力を入れる。
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