省力樹形などで労働時間削減 水田農業高収益化で果樹転換も2022年2月9日
農林水産省の水田農業高収益化の推進では水田での果樹生産への転換も支援する。省力樹形が実用化されており、これを取り入れて労働時間の削減を図ることも進めていく。
果樹の栽培面積は昭和55年には40万haだったが、減少を続け平成30年では21万haとなっている。生産量も昭和55年の620万tが平成30年には283万tに減少した。
ただ、産出額は平成24年から6年連続で増加している。販売数量は減少傾向にあるものの、優良品種・品目への転換で消費者ニーズにあった高品質な生産がされるようになったことが背景にある。海外からの評価も高く輸出量を伸ばしていくためにも作付け面積の拡大が必要となっている。
果樹は労働時間が多いが、主食用米にくらべて高い所得が得られる。10aあたりの労働時間はなしで365時間、ぶどうで384時間など主食用米の15倍ほどかかる。
一方、10a当たり所得はなしで31.4万円、ぶどうで38.4万円で主食用米の3.3万円の10倍となっている(いずれも農水省資料)。
課題は労働時間の削減で水田への果樹の導入ではそれが鍵となる。
技術の1つが根圏制御栽培技術。遮根シートにより地面と隔離した盛り土に苗木を植え付け、樹体の成長に合わせた養水分管理を行う。なし、ぶどう、もも、かき、かんきつ類など多くの導入可能で、早期に成園化ができ3、4年目から収益が得られる。また、労働時間もなしの場合で3割減となったという検証結果も示されている。
りんごでは新わい化栽培技術が導入されている。樹間1~2メートル前後に密植し、日当たりのいい生垣状に仕立てる栽培技術。5年で成園化し高所作業が少なくなることから生産性は向上する。品質も向上し正品率は慣行栽培の6~7割にくらべ9割以上に向上した。労働時間も約3割減となったという(JA長野県営農センター・業務加工用リンゴ生産に向けた産地体制づくり)。
水田農業高収益化推進計画に位置づけられた取り組み事例のなかに、北海道長沼町のりんご栽培がある。同町の仲野農園では、周囲で麦・大豆への転作が増加するなか、観光型農園をめざして加工用途の適した高品質りんごへ転換した。
畑地化支援を活用して畦を撤去したり排水対策を実施、町内のワイナリーと連携したシードルの開発、販売や直営レストランの運営にも取り組む。札幌近郊という立地を活かした。
愛知県のJAあいち三河では水稲といちごの複合経営体が産地活性化に取り組み、水田農業高収益化事業を活用して栽培施設のリース事業に取り組み、新規就農者の負担を軽減し、作付面積と販売額を拡大した。
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