法人農地取得特例の調査 岸田総理「年度内に着手」2022年3月29日
岸田文雄総理は3月28日、昨年6月に閣議決定した「成長戦略フォローアップ」のなかで、「法人農地取得事業」について2021年度中に調査を実施するとされていることについて「年度内に着手すると認識している」と話した。同日の参議院決算委員会で日本維新の会の柳ケ瀬裕文議員への質問に答弁した。
柳ケ瀬裕文議員は兵庫県養父市の国家戦略特区で実施された法人農地取得の特例事業を他地域へも広げる調査を2021年度に中に実施することを政府は昨年6月の「成長戦略フォローアップ」で決めているとして、調査の状況を質問した。
これに金子原二郎農相は「本調査の具体的な内容や実施方法については現在、年度内の実施に向けて政府内で内閣府と最終的な調整を行っているところだ」と答弁した。
さらに柳ケ瀬議員は「今年度は残り3日しかない。できるのか」と岸田総理に質問。
岸田総理は「兵庫県養父市で活用されている国家戦略特区の法人農地取得特例については調査を粛々と実施し、成長戦略フォローアップに基づいて対応したいと考えている」と答弁したうえで「年度内の調査の実施に向けて努力をしてもらいたいと考えている。年度内に着手すると認識している」と述べた。
成長戦略フォローアップでは養父市で活用されている「法人農地取得事業」を全国展開するために養父市以外の地域でニーズと問題点を調査するとされている。しかし、昨年1月、野上浩太郎前農相は記者会見で「調査は全国展開を前提に実施するものではない」と話している。
当時、野上農相は養父市は複数の企業がこの特例措置を活用する可能性があるとしているといい、「養父市の取り組みを応援するとともに、特例制度のニーズと問題点の調査について検討していきたい」と話した。
一方、「来年度中(今年度中)に実施する調査は全国展開を前提にするものではなく、あくまで特例制度のニーズと問題点の調査を実施し、その結果に基づいて調整するということ」と述べ、個別の地域でニーズがあるか、問題点はどこかを調査するものとの認識を示していた。
一方、岸田総理の答弁は閣議決定違反とならないよう、本年度中に調査には「着手」するよう指示したとも言え、農水省と内閣府の対応が注目される。
昨年6月閣議決定の成長戦略フォローアップの関係する記述は以下のとおり。
【成長戦略フォローアップ」の記述】
8.新たな成長に向けた競争政策等の在り方
(1)規制改革の推進
成長戦略実行計画に基づき、以下の具体的施策を講ずる。
(ⅰ)国家戦略特区の推進
国家戦略特区制度については、引き続き、岩盤規制改革に集中的に取り組む。また、規制の特例措置の活用から一定期間が経過し、特段の弊害のない特区の成果については全国展開に向けた検討を重点的に進めるなど、特区の規制の特例措置の全国展開を加速化させる。
①更なる規制改革事項
(企業の農地取得特例)・養父市において活用されている「法人農地取得事業」については、政府として、当該事業に関する特例制度のニーズと問題点の調査を特区区域以外においても2021年度中に実施し、その結果に基づき全国への適用拡大について調整し、早期に必要な法案の提出を行う。
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